裏庭の調査
賢者の石の管理状況をみると創始者の名前があった。
これで裏付けが取れたとなると、渡り廊下にきっとなにかあるだろうな。それを知ってしまった女の子は洗脳魔法で自殺に追い込まれたと考えていい。
「洗脳までして自殺させるって創始者はやばい奴だったのか?」
「文献では温厚で穏やかな人と書かれているが疑わしいな……」
「だねー。それが嘘だとすると文献も嘘かもしれないし何を信じればいいんだろうね」
そう、文献が嘘をつくとなると信頼できるものがない。
裏付けがないからだ。渡り廊下に何かあるというのは事実であり、ヒルダさんもそれを語っている。なにがあるっていうんだ? なぜ女の子はそこにいったのか。
女の子が行ったのは偶然かもしれないな。
「もう確認することは終わったんじゃない? そろそろ学校帰って調査しようよ」
「そうだな。渡り廊下になにがあるんだろう。たまにあそこを通るが何もないぞ」
「私も通るし景色が綺麗だからよく外を見るけど特になんもないよ?」
「気づかなかっただけじゃないか? 知らなかったらそこまで詳しく見ないだろ」
「それもそうだな。特に詳しく調べたことはない」
景色が綺麗……。
それはいつからだ? というか、渡り廊下となるとたしか裏庭からも渡り廊下が見えた気がするな。そういえば更衣室の窓からも桜の樹が見えたし、トイレの窓からも桜の窓が見える。
四番目まで全部桜の樹が見える? 共通点は裏庭に面している、ということか。その四つが。
「桜の樹……。桜の樹ね」
私は一人そうつぶやいた。
で、夜。
私は桜の樹のふもとにきていた。木の幹を触っても普通の木だった。特におかしな点は特にはない。だけど、この桜に何かあるのかもしれない。
桜ね……。
「たしかに、やっぱり見える」
アイリーン、グルツ、クロムの三人が渡り廊下に立っているのが見えた。そして、アップルが更衣室の窓から、ヒルダさんがトイレの窓から顔を出す。
やっぱり、裏庭に面しているところだ。
「これに秘密があるのか?」
さっぱりわからない。
ヒントが足りないのだ。いくら天才脳の私だからってヒントもなければ謎は解けない。ノーヒントでありかを当てるなんてそんなのは不可能だ。
不可能を可能にするなんて言葉があるが、不可能というのはできないことであり可能にならない。
せめてもうちょいヒントがあれば解けそうなのにな……!
「そういえば、ヒルダさんの死体は桜の樹の下に……」
私は水魔法をうち土を掘り返してみると、なにやら鍵らしきものが埋まっていた。本当に鍵の形をしているのでどこかの鍵だろうがどこの鍵だろうか。
持ち手の方に青いサファイアらしき宝石が付いている鍵。
私は月の光にかざしてみるが特に何も見えたりはしない。
「これ、なんなんだろな」
どこの鍵かもわからない鍵をゲットした。今日の報酬はこのぐらいか。




