宝探しメンバー
家に帰りゲームにログインする。
体を起こすと、椅子にクロムがすでに座っていた。
「よ、やっと起きたか」
「ん、あ、ああ」
「もう夜だぜ? 起きてばかりでなんだが今日ももちろん調査するだろ?」
俄然乗り気なクロム。
私がそうだねとうなずきかけたところで突然扉が開かれた。私たちは扉のほうを見ると、グルツと女の子が立っている。
クロムはちょっとだけ頭をおさえていた。
「なにをしているクロム! 先生の部屋で!」
「もしかしてイケないことしてた? 邪魔した?」
と、一人は怒っており、一人はニヤニヤしている。
グルツはクロムの手を引っ張り、女の子は私のベッドに座った。
「ねぇ、クロムかっこいいっしょ?」
「世間一般ではかっこいい部類じゃない?」
「だよねー。あ、先生とはそういえば初めましてだよね? 私はアイリーン。公爵家の長女でーす。よろしくぅ」
薄い金髪の彼女はアイリーンというらしい。
「先生、こいつ先生に掴まるよりタチ悪いぞ」
「ルールを守れ! しかも女性の先生の部屋に押しかけるなど間違いがあったらどうする!」
「どちらもその気はねえよ」
とちょっと笑って受け流すがグルツはそれが気に入らないみたいだ。
「ルールを守れっていう割には十時だぞ。お前らも出歩いてることになるぜ」
「そ、それとこれとは……」
「俺に何か言うんなら自分も出歩いてる状況をなんとかするんだな。お前もルール違反者だ。俺と仲間だぜ。よかったな」
「よ、よくない!」
「せんせー、二人で何話してたの?」
「ん、ちょっとね」
私はクロムのほうを見るといっちゃっていいっていう顔をしていたのでいうことにした。
私たちが事情を話すと、二人がなるほどという顔をしていた。
「その宝は所詮都市伝説だろう? 興味がないといえば嘘になるが本当に実在するのか?」
「わからん。俺たちはあるという体で探してるだけだしな」
「クロム君そんな面白いことしてたの!? 私も誘ってよー!」
「わりぃ、忘れてた」
二人ともちょっと乗り気だ。
「私参加するー!」
「ふむ、ルール違反になるのは少し心が痛むが、僕も興味がある。参加したい」
「わかった。このことは誰にも言うなよ?」
「わかっている。商人たるもの、安易に顧客の情報を口に出したりはしない」
「わかってるってー」
と、二人も参加するようだった。
クロムはやれやれというように肩をすくめる。少し笑って「俺の取り分が少なくなるじゃねえか」と笑いながら言っていた。
「クロム君そんなに爵位欲しいなら私のところに婿に来れば?」
「んー、なんつーか、ハート家を大きくしたいだけだ。侯爵家までは金つめばなれるしハート家を最大まで大きくしたいだけなんだよ」
「ふーん。でも、いつでもきていいからね?」
「貰い手がいなかったら俺がもらってやるよ」
「これでも公爵家長女だから貰い手の話はたくさんあるんですー」
青春だなぁと思いつつ、グルツは何やら考える仕草をしている。
「宝探しするのはいいがどうやって宝のありかにいくのだ? あるとしたらこの軍務学校の中としか考えられないし……」
「それなんだよな。俺もそれを探してる。が、一向にヒントが見つからん。七不思議が関係してるんじゃないかとは思ってるけどな」
「七不思議…か。聞いたことはあるな」
「七不思議は有名だもんねー。私もあるよ」
三人で何やら会話を始めた。
私はちょっと中に入れない。なにやら悪くない関係性のようでお互いがお互いちょっと楽しそう。青春だなぁと思いながら私はちょっと自分の思考を整理することにした。




