月乃と男が一緒に? ②
私は友達と会話する体を装う。
「ねえねえハクー。この服良くない?」
「そ、そうだね」
「もー。せっかく来たんだからちゃんと見てよー。私だけこう乗り気だと周りに変な目で見られるじゃん」
白露は演技は及第点すら上げられないために私一人で強引に連れてきた感を出すしかない。
もしかしたら白露だけはバレるかもしれないが、白露の別の友達ということで乗り切る。そういう風にシフトチェンジすると白露にだけは話しておいた。
すると、月乃がこちらに近づいてくる。
「もー! せっかく可愛く見繕ってあげたのにそんな乗り気じゃないともう友達やめたくなるじゃん!」
「ご、ごめん……」
そういう風に演技していると月乃がこちらに近づいてくる。
「あの、強引はよくないと思うしあなたその態度だといつか本当に友達無くすわよ?」
「何この女。うざいんだけど」
「……忠告はしたわ」
「意味わかんない忠告ありがとさん! 別に友達ならコイツ以外にたくさんいるからいいもんね!」
「月乃、忠告……」
あ、早速やらかした。
気づいてないのか白露はなにやら話しているが月乃は疑問に思ったようだ。で、月乃も馬鹿じゃない。白露には気づいたようで。
「あんたもしかして白露? あの態度からして」
「げ、なんでばれた!?」
「そりゃ名前呼ばれたもの。そりゃバレるわ。じゃああっちはパン子……?」
「パン子? 誰ですか?」
「そりゃそうか。違うわよね。白露、ああいう子と付き合わないほうがいいわよ」
「あ、ああ」
白露が早速ヘマしてやらかしてるので早速シフトチェンジだこの野郎。
「でもあの態度はムカつくわね。今からでもパン子に来てもらって粛清してもらおうかしら」
「あ。ああ! それがいいな」
だが抜かりはない。電話されようと気付かれるはずがない。こういうことは想定内だ。
私が間違って白露の持ってるバッグに携帯をいれているのだ。間違って、な。だからバレる心配はない。
「って、私のカバンの中にパン子のスマホ入ってる。さっきまで一緒だったし間違って入れられたんだろうな」
「呼ぶことできないのね……」
「もういいですか? 私服選びたいんですけど」
「……おい」
と、今まで黙っていた男のほうが私に声をかけてきた。
「うわ! すごいイケメン! なにしてるんですか! あ、私の可愛さに惚れたとか? キャー!」
「何を勘違いしてるかわからんが俺があんたみたいな性格ブスに惚れることはない。彼女にひどい言い草だな。謝れ」
「う、うわーん! 性格ブスって! あんた何様のつもりよ!」
「俺か? 俺は吽神家の長男様だが?」
「う、うんがっ……!」
「名前ぐらいは知ってるだろ? あいつも阿久津っていうんだがあの阿久津家様だぜ? あんた、とんでもないもんを敵に回そうとしてるなおい」
と、私の手を掴みぎりぎりと締め上げている。
くっ、演技を間違えた。クッソ迷惑な女子高生を演じてただけなのに! ただ、吽神家の長男、ね。月乃が話すわけだ。多分偶然出会ったかで話していたんだろう。
私は不敵に笑う。
「いいんですかぁ? こういうことして! 私が叫んだらあなた掴まりますよ?」
「月乃に迷惑かけるような奴だ。俺が捕まろうとも構わん」
「ほ、本気ですかぁ? 吽神家の坊ちゃんともあろうものがこういうことで補導されるって世間体的にもやばくない?」
「構わん」
と、離してくれない。
流石に男に力で勝てない!
「ご、ごめんなさい! 許してください! 吽神さん!」
「謝る相手が違う。あの子とあの子だ」
「ごめんなさい、阿久津さん! 球磨川さん! 許して!」
「あ、ああ。別に、イイが」
「そろそろ離してやりなさい。逆にあんたがやりすぎよ。私は対して気にしてないもの」
というと私の手を締め上げる手が離された。
いってぇ。




