誰も知らない七不思議 ⑤
七不思議五つ目は訓練室、六つ目は外鍛錬場だった。
それぞれ現実の七不思議をモチーフにしており、五つ目は訓練室で丸いものを置いておくとそれが跳ねる音が聞こえるということだ。
検証結果は特になにもなかったが、こちらはもともと球を使って遊ぶのが好きだった男の子が病気で死んでしまったということがあるらしいので七不思議。
で、六つ目は外鍛錬場で素振りをしていると誰かに足を掴まれるということだ。これも本当の剣で鍛錬していたとき誤って自分の足を切りつけ、足を失って死んでしまった子がいるというので本当の七不思議だと思っていい。
「うーん。七つ目の手掛かりはわからないか」
私の部屋で会議していた。
私はちょっとあのヒルダさんに話を聞きたいな。わからないことが一つできた。四番目のものだ。ヒルダさんなら何か知っていないだろうか。
「私はちょっと確かめることがあるからさ、もう今日はお互い寝ようか」
「わかった。明日も学校があるしな」
「そうそう」
「じゃ、おやすみ。先生」
と、クロムは私の部屋を出て自分の部屋に戻っていったようだ。
私はまたあのトイレに向かう。ヒルダさんと声をかけるとナンデショウと姿を現した。
「四番目の七不思議ってわかる?」
「ヨンバンメ……。コウドウニツヅクワタリロウカノハナシ……?」
「知ってるの!?」
「シッテル……。ワタシヨリサキニシンデルカラ……」
講堂に続く渡り廊下になにかあるのか?
「アノワタリロウカデオンナノコガジサツシタ……。ヨルソコヲトオルトジサツニマキコマレルッテイワレテル」
「なるほど。13階段とは何の関係もないんだね?」
「カイダンノハナシ、シラナイ」
「知らない、知らないとなるとどこかで曲解して伝えられたと考えていいな。ありがとう」
七不思議の場所を纏めてみると。
裏庭、鍛錬場の更衣室、一階の東女子トイレ、講堂に続く渡り廊下、訓練室に外鍛錬場。共通点は死ということのみだ。
だが、前半二つは死ぬことと直接関係はしていない。それがなにかヒントとなるのだろうか。更衣室で誰かが殺されたという噂はなさそうだからな……。
「そういえばヒルダさんの死体ってどこにあるの?」
「シタイ?」
「ヒルダさんって幽霊でしょ? 死んだときはここで、ちゃんと処分されたのかなって」
「サレテタ。ウラニワニウメラレタ」
「桜の樹の下に?」
「ソウ」
桜の樹の下には死体が埋まっている……。
本当に埋められているとは。もう何百年も前だろうし原型は残っていなさそうだ。さすがに骨……いや、骨も残ってるのかな。
「更衣室の幽霊に関しては何か知ってることは?」
「ソコニハワタシノホネデツクラレタカガミガアル」
「なるほど」
そこに変わるのか。
一度掘り起こされたと考えていいな。
「…ふむ」
これがカギとなるかもしれない。
一つ目から三つ目までヒルダさんが絡んでいる。それを踏まえると何かあるのか? 単に人殺しをあまりしたくなかった……というわけではないと思うが。
ヒルダさんになにか隠された秘密があるのかもしれないな。
「パンドラハフシギナヒトダ。コワガラナイナワタシヲ」
「ん? まあ、恐怖を持つことはあまりないかな。怖いと喚いている暇あるなら先に進みたいし」
「ソウカ。ソレナラタノミガアル」
「頼み?」
「ワタシノムネンヲハラシテクレ。ナナツメノナナフシギヲミツケテタカラヲテニイレテクレ」
「もとよりそのつもり。って、ヒルダ。宝があることはわかってるの?」
「モチロン。ワタシハアリカヲシッテイル。ガ、イエナイ。セイヤクマホウヲカケラレテイル」
「ほう……」
「ワタシハソレヲツタエルタメニユウレイトシテノコサレタ。クヤシイ。ダカラミツケテクレ」
相手の魂だけをとどめる魔法がある、というのか。
宝のありか、ありかねぇ。




