学校に眠る財宝のうわさ
「そういえば、あんたも宝狙いか?」
と、クロムがそう切り出してきた。
宝とはなんだ? と聞き返すと、知らないのかと笑われた。
「この学校のどこかには地下に続く入り口があって、その奥に財宝が眠ってるらしい。その財宝はこの学校の創始者がひそかに隠していたもんなんだと。結構な大金と知れ渡ってて忍び込む輩が多いそうだ」
「へぇ」
「俺はそれを狙ってる。ここの生徒になるとほとんど探検できるからな。学ぶなんてのは二の次さ」
財宝狙い、ね。
「俺は伯爵家をでかくする。俺の代で公爵は無理とも侯爵にのしあがるんだ。金があったら権利を買えるからな」
「ふぅん」
「毎年毎年分割で支払っている。あともうちょいで買えるんだが、金が尽きた。俺の持ち金がな」
だから、財宝を掘り当ててそれで払おうと。
だが、爵位は金で買えるのかは疑問に残るが……。
「俺と一緒に宝探ししようぜパンドラさん。分け前は半々で」
「別にいいよ。面白そうだ」
「ノリがいいな! だが、あんたは一応客っていう立場だ。先生という立場をまず手に入れてほしい」
「先生?」
「非常勤講師でもいい。この学校を自由に散策するには生徒、先生のどちらかである必要があるからな。だからどちらかになってほしい」
「わかった。それなら簡単だよ」
「本当か?」
と言ったときに、鐘の音が鳴った。
「わり、昼休み終わっちまったみたいだ。じゃ、楽しみにしてるぜ。先生」
と、先生になることを確信してるかのように先生と呼ばれたのだった。
「最後に一つだけ聞きたいんだけど、どうして私に声をかけたの? 初対面で誘ってくるのは変だよね」
「んー、まあ、信頼できそうな気がしたからだ! 俺は絶対に裏切らない。あんたも絶対に裏切らないってな。こういうのは信頼関係だぜ先生!」
「そう。信頼、ね」
信頼、信用。
ま、騙されたとしても私は金なんて結構あるし痛いというもんでもない。単純に宝探しがしたいだけなんだから別に裏切られても問題はない。
それに、多分その噂はいつか耳に入っていただろうな。誰にも見つからず都市伝説と化した創始者の財宝……。
あるかどうかもわからない財宝を、探すやつ。
「なんていうかこういうのロマンあるよね」
ロマンを追うバカは私だけじゃなさそうだ。
「あ、パンドラさん。やっと用事終わりました」
「遅かったね。で、聞きたいことあるけどクロム・ハートって何者?」
「ああ、頭が切れる天才ってやつですよ。飲み込みが早いんですが、結構おちゃらけた性格で。でも、頼んだことは絶対にやる、頼まれていなくても人のために何かをしているらしくいい人なのは間違いないと思います。どうかしましたか?」
「いや、なんでもない。さ、また案内してよアヴェール」
「わかりました」
私はまたアヴェールについていった。
ま、ニホン国色々抱えすぎでパン子も戦うの疲れたと思うんで宝探しを…ね




