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悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
ニホン国の学び舎
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ニホン国軍務学校の生徒たち

 現実から戻り、今度はゲーム。

 アバロン教がなくなったことによりアヴェールは無職になった。もう最高司祭でもなんでもないため特に権力もない。

 まあ、死刑にならなかっただけいいんじゃないかな。アヴェールは知らなかったらしいし。それに、巧妙だったんだよな。隠す手口。実行犯で生き残ってる奴がいたかは知らないが。


「で、学校の先生と」

「主に光魔法を教える先生ですよ」


 このニホン国最大の学校、ニホン国軍務学校というものがあり、戦術や魔法など様々なことが学べるらしいのだ。

 貴族、平民問わず受け入れるが、戦争があった場合には兵士として駆り出されるかもしれないということもある。だがしかし、軍務学校に入ると何かと得なこともあるという。


「よかったら学校の中を見学していきますか?」

「興味あるからそうさせてもらうよ」


 ニホン国の中でも随一の敷地面積を誇るらしい。

 学生寮と併設されており、安全を守るためには貴族平民問わず寮に住むんだという。外部からは人をあまり入れないので情報漏れなどの心配はないという。

 私は受付を済ませ、学校の中に入っていった。


 まずあったのは池だった。

 学校の門の近くに池があり、鯉などの魚が泳いでいる。生徒だろうか、ものすごい若い女性がぱらぱらーと餌をやっていた。

 餌に鯉が群がり、それを微笑ましく見てる彼女たち。


「あ、アヴェール先生! そちらはお客さんですか?」

「私の恩人ですよ。君たちは何してるんですか?」

「見てわかる通り餌やりですよー。なんていうか、美女に群がる男みたいで面白いなって」


 案外黒い楽しみ方してるなコイツ……。皮肉ってるのか?

 

「先生も餌どうです? やってると案外楽しいですよ」

「いや、この人に学校を見学させるから」

「もしかして恩人さんが入学するんですか?」

「ただの興味本位での見学だよ。私は学ぶつもりはないって」


 そういうとつまんないのーと口をとがらせていた。

 それじゃと別れを告げ、先へと進む。校舎の入り口につき、中に入ると下駄箱の前に購買があった。パンなどが売っており、隣には貴族らしき人が一人。


「すいません、このじゃむぱんというのをもらえないだろうか」

「わかりましたよーっと」


 貴族らしき所作が身についている人がパンを買い、こちらに振り向いた。


「おやおや、アヴェール先生。あなたも購買に何か買いに来たんですか?」

「いや、私は特に用事はないんです。見学してるだけですよ」

「冷やかしは店にとって迷惑ですよ。買う気がないのに見るというのは店側からしたら辛いですからね」

「そうですね。ではアンパンを二つ」


 アンパンを私がもらい、かじりつく。


「それでその方は?」

「私の恩人です」

「パンドラですよー」

「パンドラさん。とてもわんぱくそうな名前だ。私はグルツ・アストラ。今は私が爵位を継いでいるので一応貴族の当主だ。だが、そんな緊張はしないでもらいたい」

「アストラって、あのアストラ商会の……」

「今はないがね。父が何者かに殺され、アストラ商会はなくなったのだ」


 潰した本人なんですけど。


「犯人を見つけてお礼を言いたいが」

「え、なぜ?」

「あの父は死んで当然の男だからだ」


 と、嫌な顔をして言うのだった。

 アストラ子爵はろくなやつじゃなかったがその息子はとてもいいやつに育っているのだろう。悪事を悪事とわかっている。

 だからこそ父に嫌悪感が湧くんじゃないだろうか。


「理由があるのならいい、そうせざるを得なかったのなら私も許せた。が、あの詐欺まがいなことはあくまで自分のためだ。平民から金をだまし取りえた金で豪遊をしても楽しくないだろう。私はあくどいことをしてまで金を稼いでいた父が嫌いだ。パンドラさん、君は何か知らないか?」

「言っていいのかわからないけどブラフ・アストラならまあ、私が殺したって言うか……」

「誠か!」


 と、私の腕を掴む。


「あんな父を殺してくれて助かった! あの父が当主だと私が望む商会の経営ができなかった! ありがとう!」

「あ、あはは……」

「人殺しというのは犯罪行為だが……だがしかし、殺されて当然だった男を殺したらどうだ! 戦争でたくさん人を殺した人が英雄視されるように残忍な犯罪者をのさばらせず殺すというのも英雄視されるべきだ!」


 この子めっちゃいい子じゃない……?


「パンドラさん、ほんとですか?」

「うん。まあ、魔王軍だしこの国の法律とかは関係ないしレオンも黙認してくれてるから」

「かの王とも呼び捨てにするほどの知り合い! おみそれしました!」

「あ、うん……」


 なんていうかこの子、熱い。

 でもさ……。


「グルツくん、だっけ」

「はい!」

「グルツくん。人殺しはあくまで人殺しだよ。認めちゃいけないんだよ。たとえ死んだほうがよかったとしても、人殺しは褒めるべきじゃない。戦場でたくさん人を殺すのだってそうしないと生きていけないからだ。人殺しは喜ぶべきものじゃない」


 そういうと、そうでしたと反省していた。

 反省するだけいい子、なのかな?













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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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