空と海と大地と呪われし…姫? ②
気が付くと、アヴェールが顔を覗き込んでいた。
私は起き上がり、自分の体を見てみる。すると、なんだか勾玉を吸収した右手だけが黒く染まっていた。水のように透き通った色白な肌が黒く染まり、まるでどす黒い……。
なんだろう、中二病?
「待って待って……ナニコレ」
起きたら私の右腕が封印されし右腕に進化してるんだけど。
どういう状態これ……。
「み、右腕をこちらに向けないでください。呪われそうで……」
「それはわかる」
黒い。だがしかし、その黒さはというと、血が固まったかのような黒さだった。
水を出せる能力というのは変わらず、ただ黒く変色しただけなんだろうか……。ワグマに鑑定してもらおう。
と、ワグマの元に向かって鑑定してもらった。
「神呪の腕……という名前ね。任意で発動、触ったら神の呪いが相手にかかるそうよ。呪いの効果は相手を攻撃不可能にする……っていう……」
「うっわ」
「きっとパンドラが戦ったって言うあの神を倒した報酬に近いんだと思うわ。神の呪いだけあって普通のプリーストじゃ無理で教会に行かないと無理だそうよ。それか、プリーストの最高職であるアークプリーストの最大解呪呪文、デストロイスペルじゃないと無理だそう」
「え、ええ……」
攻撃不可能にさせる、か。
「ただ、自分に攻撃を不可能にさせるだけで他の人には攻撃できるようになるみたいね」
「そうなんだ」
ようするに自分にだけ攻撃できなくさせるということか。
まあなんとも結構強いというか、壊れというか。あんなことがあった以上これぐらいは当然なのかな? 一撃でも食らえばほとんど即死だったし。私が耐えきれたのはきっと体力がちょっと多かったからだ。あれは私たちじゃ絶対勝てないものだしな。耐久するのも疲れる。
「右手で触らなくちゃダメよ。左手で触っても効果ないらしいわ」
「まあ、黒く染まってるのが右手だけだしな」
「よくもまあこんな壊れスキルを……。私はほとんど普通のスキルばかりなのにずるいわよ」
「まあ、ワグマは堅実的なスキルばかりだし差が付くのは仕方ないよ」
「…………」
「私とビャクロは結構好奇心旺盛だからさ。失敗するかもしれないと思ってもやる。ワグマは違うでしょ?」
「まあ、そうね」
ワグマはどちらかというと今あるスキルの組み合わせを研究して強さをたしかめるということだ。
ワグマが持ってるスキルを聞いてもどこにもあるようなものばかりで、その組み合わせで強いって物ばかりだった。
私とビャクロは独自のスキルが多い。その分スキルの組み合わせとか吟味しない。
「好奇心が新たな発見を生むんだ」
「そうね。私は好奇心が足りないのね……」
「もとい、ハングリーさかな」
「わかったわ。今度からいろいろと挑戦してみるわね」
ワグマは納得したようにうなずいたのだった。




