武器を作ってもらおう
リオリオたちとまた王都に戻っていく。
「そういえば武器どこで購入したの? さすがに初期武器のままだときついしそろそろ変えたいんだけど」
「ならおん爺のところお勧めよ」
「おん爺?」
「一見さんお断りのNPCの鍛冶屋なんだがな。最高品質の武器を提供してくれるんだ。自分が信用する人じゃないと作らないらしいんだが俺らの紹介があったら大丈夫だろう」
「じゃあいってみるわ」
「わかった。じゃあ、またね」
そういって三人と別れる。
おん爺か。
で、そのおん爺の工房の前に立っている。
こんこんと工房のドアを叩くと、中からすごいいかついおじいさんが出てきたのだった。筋肉守り森のタンクトップ姿。体には傷跡が無数についている。
この人がおん爺さん?
「なんじゃ嬢ちゃん。ワシになんか用か?」
「あー、タケミカヅチさんの紹介でここ案内されたんですけど武器作ってくれませんか?」
「あの若造のか……。わかった。どういう武器だ?」
「えっと、剣、爪、弓です」
「金はあるんだろうな?」
「えっと……」
「ないなら少しバイトしていけ」
「バイトでいいんですか?」
「ああ」
らしい。
バイトでいいとか案外優しいんだな。頑固ジジイって感じがするのに。
「魔王軍の奴にバイトさせるのもなんだが金はもらう」
「魔王軍って気づいたんですか?」
「その異様な負の魔力を見てればわかる」
「魔力わかるんですね」
この人ただものではなさそうだなぁ。
まあ、武器作ってくれるならいいんだけど魔王軍の武器作っていいのかな。
「魔王軍の武器作っていいんですか?」
「構わん。むしろ、魔王軍には感謝しているからな」
「感謝?」
「あの町の商人は詐欺まがいのことしてるやつがいてそれに引っかかった。情けないことにな。殺してくれて借金がなくなった」
うわぁ。借金か。
詐欺まがいの事にひっかかってとか……。詐欺か。その詐欺師口がものすごく達者なんだろうな。あと、頭がすごく回る。
この人がそう簡単に引っ掛かるわけないと思うしな。
「国にも不満しかない。その国を揺るがしてくれたのも感謝している」
「そりゃどうも……」
「ワシはあんたらを恨んでなんかおらんよ。入り用になったら言ってくれ。ただ、正面から出入りはするなよ?」
「わかりました」
正面からでは出入りするとそれはそれで厄介なことになる。
まだ顔バレしてないからいいとはいえ、顔バレしていたら魔王軍が使ってるとして誰も使わなくなりそうだ。流石にそれは避けたいらしい。
顧客がいなくなったら商売あがったりだろうしな。
「弓の素材は木、じゃな。ちょうどいい素材がこの前手に入ったばかりだ」
と、出してきたのは一つの枝。
なんだろうこれは。
「素材鑑定できないか。これはレア度9と言われる幻の樹の枝だ」
「ぶふっ」
なんだそれ。
レア度9って相当レアなやつじゃないかよ。それ使っていいの? 家宝にするべきじゃないの? レア度9って相当でないよ?
でも、この枝がレア度9って信じられないんだが。普通の枝……だよな。
「大盤振る舞いでこれを弓にしてやる。もう武器変える必要がないような武器になるぞ」
「マジでいいんですか? あったばかりの私に」
「気にするな。その代わり、もし国を亡ぼすことがあったなら俺は助けてくれると嬉しい。さすがに弟子とらないまま死にたくはない。俺の鍛冶技術は後世に残しておきたいからな」
「わかってます」
「あと注文なんだが森の賢者の武器も作らせてくれ。武器必要なやついるとは思わんが」
「聞いてみますね」
この人、武器づくりが好きなんだろうな。
「じゃあ始める。時間かかるから暇をつぶしてきてくれ」
「見てても構わないですか?」
「見られてると集中できない。作業してるときは一人にしてほしい」
「わかりました。ではいつぐらいに取りに来れば?」
「そうだな……。明日の朝だ。さすがに三つとなると結構な時間がかかる」
「わかりました」
まぁ、そらそうだ。
三つ武器を作るとならば時間はかかるだろう。私は帰ろうとした時、工房の扉が開かれる。
「パンドラ! ここにおったか!」
「パライゾ?」
吸血鬼のパライゾが工房の扉を開いていた。
「なにしている? 滅ぼすのか? そいつを」
「いや、武器作りにね。パライゾとか欲しい武器ない? 作ってくれるそうだよ」
「ほう? 我の武器を作れるとは思わんし、我武器いらないんだが。まあ、リッチーのエディットの杖を作ればいいだろう。あとデュラハンの大剣だな」
「わかった。渾身の出来にしてやる」
すげえ嬉しそう。
パライゾにはいっておこうか。
「パライゾ。間違ってもこの人は殺すなよ」
「わかった……。殺戮しちゃいけない人間もいるのかっ……」
「なんで悔しそうなんだよ……」




