それは神への嘲笑、冒涜である ②
私の答えは正解だったようで否定はされなかった。
風雷神メルトウス。かつて暴虐をつくし処刑された神。本で見た顔とは違うが、きっとそうなのだろう。神をも蘇生させる技術はすごいと思うが、それと同時に、それは宗教への裏切りではないのだろうか。
「風雷神は私たちが完全に殺しました。ローキッスみたいなことはありません」
「実際、転生体も俺が殺したんや。だから生きてるはずがない。何が何でも生きるという意思がわかるなぁ」
そのメルトウスのゾンビ体はああとうめき声しか上げない。
「ローキッス。協力しますよ」
「もちろんや。風雷神メルトウスは俺と違ってマジで人間を滅ぼそうとしとる。そりゃ、見逃さへんわなぁ」
メルセウス様は水で作った剣を構えた。
相手はいきなり素早く動き、その斧を振り下ろす。水の剣で受け止めるメルセウス様。ローキッスはその隙にトランプを飛ばす。
体にトランプが刺さった。
「あがががっ! ががっ!」
「おお、俺が攻撃されるんや。神に遊戯空間はあまり効かへんのよなぁ。全盛期には戻りかけとるが骨が折れるんよ。だから……」
斧が振り下ろされる、が、それは自ら外すかのように急に軌道を変えていた。そして、ローキッスの真横に斧が振り下ろされる。
「俺は神としての身体能力はない。が、神の中での生粋のギャンブラーやで? それに、昔から俺は運がええからなぁ! お前は攻撃を当てる確率を低くさせてもらったで」
「これが厄介なんですよローキッスは。ですが、味方となると心強い」
メルセウス様は水の剣を構え突撃していく。
素早く相手の横を通り過ぎたと思うと、その瞬間水の刀がメルトウスに次々刺さっていく。だがしかし、ダメージにはなっていなさそうだった。
神としての耐久力があるということだろうな。
「これ二人で勝てますかね?」
「わからん。倒した時は破壊神と天空神がおったが……」
「ですね。どうしましょう。ここは私の大陸なので私はすぐ来れたのですが他は時間かかると思いますね」
「……パンドラ! お前が戦うんや! メルセウス! パンドラに任せい!」
と、ローキッスが叫ぶと、メルセウス様は渋い顔をして私に任せましたといって、消えるのだった。私は突然戦うことになった。
もしかしてこいつは、プレイヤーじゃ絶対に倒せないのかもしれない。耐久戦というわけだろうな。神が到着するまでの間、ここで防衛していろということだ。
「パンドラ! 体が水だからって油断するなや! この斧は魔法攻撃扱いにもなる! あんたも攻撃受けたら死ぬかもしれへんで!」
「わおまじか」
神風特攻は無理か。
ふーむ。相手は相当厄介だな。普段はのそのそと動く癖にたまに素早く動いてくる。たぶんそれはメルトウスの力だろう。風を操ることは容易なはずだからだ。
風の風圧で自分を素早くしている。それをいつしてくるかはわからない。
ビャクロならこういうの得意なんだけどな~……。
私は爪を噛みながら作戦を練っていた。




