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悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
大人と高校生
380/648

怒りにそまった銀の月 ③

 阿久津家が経営する会社の親会社についた。

 系列がたくさん揃う阿久津家グループ本社はとても壮観で、ものすごく綺麗だった。社長室に月乃の父さんがいるらしく、私と月乃は受付を通る。


「も、申し訳ございませんが来客の場合はこの札を……」

「そんなことしてる時間はないの! 顔パスで!」


 と、私は月乃をそっちに向かせる。

 そして、私は急いでエレベーターに乗り込んだ。エレベーターの扉が閉まる。


「……その、パン子。今日はありがとね」


 と、月乃はしおらしくお礼をしていた。


「才能ないってのは私分かってるの。でも、努力だけはしてるのよ。あんたらに追い付くために」

「……才能がないとか言うなよ」


 私は月乃のほうを向いた。


「私は月乃を尊敬してる。努力できることが才能って言う人もいる。そうだよ。本当に才能がないなら諦めて努力なんかしないって。それに、才能がないわけじゃないよ」

「でも、私は白露みたいにずば抜けて運動出来るわけじゃないし、パン子みたいに並外れた知能もないわ! 何も中途半端なのよ! 才能がないのは当たり前じゃない!」

「んなわけあるか! 私たちが異常なだけだ! それに、月乃は十分才能がある! 私や白露は昔どんな性格だった!? 私は月乃と出会って変わった! 白露もそうだ! 月乃は人とかかわる才能があるんだよ! 人と人とのつながりが一番大事ってわかるだろ! 親が社長なら!」


 そういうと、月乃は黙ってしまう。

 私はただ勉強できるだけだった。人とのつながりを持とうとしなかった。もしもそのままなら、私はきっと孤独で過ごして後悔していたかもしれない。

 白露もそうだ。白露も、人付き合いはしなかった。白露も月乃と出会わなければ未来は暗かったかもしれない。


「普段こういうこと言わないから恥ずかしいけどな、私は月乃に感謝してるんだよ。白露も多分してるさ。私が尊敬してる月乃を卑下するのはやめてくんないかな? 聞いてて不愉快」

「ご、ごめんなさい……」

「まあ、あんなことがあった後だし卑屈になるのはわかるけど、卑屈になればなるほど思うつぼだぞ。そうしてると自分が悪いんじゃないかって思い始めるぞ。私がいる。卑屈になるな。私は口と頭だけは回るんだ。だから任せとけ」


 私は月乃の肩を叩くと、最上階についたのだった。

 エレベーターの扉が開き、私たちは社長室へ向かって歩いていく。途中ですれ違う社員の人は私たちをみていたが、そんなの気にしてる暇はない。

 私はポケットに手を突っ込む。


 ここまでくればあの爺さんは手を出せない。

 私の勝ちだよ。あんたは負けたんだよ。月乃の祖父よ。あんたがバカにしていた庶民に負けるんだぜ。

















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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] 月乃ちゃんはな、とんでもない才能を持っているんだよ……パン子達と言うとんでもない才能たちと友達になったことだ。 社長とかやった事ないけどな、人を見る目もそれはとってもすごい才能なんだよ! …
[一言] 更新乙です! 凄い老害ですね………自分の孫を貶めるとか コヤツが「才能無し」と断じてますけど、パン子ちゃんの言う通りに彼女は凄い物を持ってます。 パン子ちゃん達みたいな問題児を普通に…
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