表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
魔王ワグマの治める地
38/648

禁忌扱いのパン子さん

 冒険者すらも手駒として活用したいらしい。

 舐められたものだな。攻め込むための城の抜け道を探して来いって……あの王子賢いのか? いや、この依頼は多分王か。

 あの王子はあたまが切れる。こういうことを依頼するはずはないな。


「あの魔王領よ? 危険じゃない?」

「危険は承知している。だが、ランク上げるためだ。やるしかないだろう」

「どうしてもやるの?」

「パンドラさん。うん、やる」


 えぇ……。また魔王城に戻るのかよ。

 来たばかりなのにまた戻るのかよ。なに? すごろくでもさせられてんの? 振出に戻る選択されたの?ええ……。

 まぁ、仕方ない。金は結構もらえるし見てはいけないところは見せなきゃいいんだ。


「気が乗らないけどやるか……」


 





 で、戻ってきました魔王城。

 何が悲しくて自分たちの城を自分で調べなきゃならないんだ。でも、私もこの城の全貌を知っているわけじゃないしな。


 ため息をついていると、意を決したタケミカヅチが入っていく。正面から堂々と。


 いろいろツッコミたい。正面から入るバカどこにいる。普通は入れないだろう。

 それは女性の人も言いたかったのか何か言いたそうにしている。だけど、見張りは私を見てにっこりして、何事もなかったかのように入れた。


 タケミカヅチ君以外はそれを疑問に思ってしまったか……。


「うわぁ、すごい光景だな」

「そ、そうね」

「そうだな……」


 もうすでに見慣れた魔王城内部。

 もうすでに帰りたい。いや、もう帰ってきてるけど。


「魔王にあっちゃまずいし隠れながら行くわよ」

「もう遅いんだけどね……」

「なんかいったか?」

「んにゃ」


 もう魔王の手の者が味方にいますといったらどうなるんだろう。

 ……それもそれで面白そうな気がする。いや、そうするべきだ。PK上等。やるか。


 私は、背後からばれないように弓を弾き絞った。そして、女性を狙ってまずは毒矢を放つ。女性の背中にヒットし、こちらを睨んだ。


「な、なにするのよ……! って、毒!? あなた、敵ね!?」

「も一発」


 男のほうを狙って撃った。男の肩にクリーンヒット。

 よし、逃げるか。さすがにまずい。


「解毒薬持ってないわよ……! あ、あいつをしとめるのよ!」

「……誰だお前は」

「私? 私は魔王軍のパンドラ。お金欲しさに手ごろなパーティーに入ってたんだけど…何が悲しくて自分の住んでるところを探索しなくちゃいけないんだって話だからさ。油断したところをグサッとやろうかと」

「あんた性格悪いわね……」

「みんなが言うには壊れてるらしいからな」


 性格いいやつはいないでしょ。人間如きに。

 それはさておき。三対一はちょっとまずいなぁ。タケミカヅチくんはなにがなんだかわかっていない顔をしているけど。

 というか思い出した。この子たちクラスメイトじゃん。禍根を残すのはちょっとまずいな。


 私は解毒薬を二つ取り出した。


「ほら、解毒薬」

「……本当に解毒薬でしょうね」

「毒は渡さないって。鑑定してみたらわかるんじゃない?」

「残念ながらそんなスキル持ってないのよ」

「あらら」


 試しに男のほうが飲んでみている。

 すると、毒が回復したといっていた。それに安心したのか女性のほうも解毒薬を飲み始めた。


「お前、魔王軍だったのか」

「うん。まぁ、ワグマ……月乃が魔王になりたいって言ってたから」

「街を壊滅させたのもあんたなの?」

「うん。面白半分で」

「壊れてるぞ普通に」


 照れる。


「で、君たちは私を殺すの? 殺すんだとしたら手加減はしないけど」

「いや、いい。クラスで夢野を敵に回すと恐ろしいって言われてるしな」

「……何その噂!?」

「知らなかったの? 入学の時いじめてきた子転校させたじゃない」

「あー……」


 あったあった。やり返したんだよ。

 水をかけてきたからチョークの粉を溶かした水を私がかぶり、先生にわざと泣きついて叱らせた。さらにひどくなったけどそのさらに上を行くことを自分にして犯人に仕立て上げたら全校生徒から非難されてそのまま転校していった。二週間ぐらい前の事だ。


「あの時からクラスの奴はお前を苛めちゃいけないって認識になってる。あと、お前クラスメイトには優しいしな。ノートありがとよ」

「私もありがとう」

「ど、どういたしまして?」


 なんか照れるな。


「まぁ、夢野さんが魔王軍って……。手を出しにくいじゃない。もうこの依頼は受けないわ。失敗扱いでいいかしら」

「いいぞ。正直俺も手を出したくない」

「禁忌みたいな扱いになってるな……パン子さん……」


 誰が禁忌じゃい。
















水をかける→チョークの粉を溶かした水をかぶる

物を隠す→自分の持ち物をごみに捨てて先生に見せる

殴る→髪をわざとざんばらにきって切った髪を先生に見せながら泣きつく

悪口→録音


などなど苛烈さを強調させあえて自分にやってわざと泣きつかれた。

で、最終的に全校生徒の前で私はいじめられているんですと泣き、その男子生徒は批難の眼を向けられて転校していったという……。

目撃者をわざと作って証言させていたんだとかあと。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ