怒りにそまった銀の月 ②
月乃は私の手に引っ張られている。
「パン子、勝てる見込みはあるの……? 相当厄介よ……?」
「そんな弱気でどうする。それに、あの爺さんのことだ。月乃のおつきの人も使って捜索網敷くだろうよ。それをかいくぐってある場所に行くまで捕まるわけにはいかないからね」
そういって走りながら私は笑ってやる。体力もないし笑う余裕は本当はないが、辛くても笑ってやった。元気になればいいのだが。
これでももう限界が近い。
「ある場所ってどこよ……?」
「いったらわかる。そういや月乃、美咲先生の電話番号持ってる?」
「そりゃ親戚同士になったし持ってるけど……」
「じゃ、かけてちょうだい」
月乃は美咲先生に電話をかける。
私は月乃から携帯をもらい、そして、美咲先生がでた。
『なにかな? 月乃さん』
「あ、月乃じゃなくて眠です。あの、ご主人の電話番号を教えてくれませんか? 悪用はしないので」
『何に使うの?』
「人助けです。時間がないので早くお願いします」
そうお願いすると、しょうがないなといって電話番号を言ってきたのだった。
私はありがとうございますといって電話を切る。そして、またその言われた電話番号にかけたのだった。
コールを数回したぐらいで出てくれた。
『城ケ崎ですがどちら様でしょうか?』
「阿久津 月乃の友人の夢野です。その、すいませんが月乃と私をあなたがいるところに連れてってもらえませんか?」
『な、なにをいきなり』
「緊急事態です。私のお願いを無視すると月乃の父さんから不満を抱かれますよ。早く来てください。緊急事態ですから。警察署で待ってます」
といって電話を切る。
すると、後ろに黒い車が止まる。
「やべ、もう来た! 走ろう! 月乃!」
「え、ええ!」
私たちは走って警察署に向かうのだった。
必死こいて走る。後ろからは黒い車が追いかけてくるので車が入れないような狭い路地を通りながらも警察署へと向かう。
「ある場所って警察……? いや、ならわざわざ城ケ崎さんを呼ぶ必要はないし」
「答えを言うと月乃の父さんのところだよ。月乃の父さんもあの爺さんが嫌そうだし、決定打を上げようと思ってね」
「なるほど……でも、いいのかしら」
「いいんだよ。阿久津家現当主は月乃の父さんだ。とやかく言われることはないでしょ」
月乃は納得したのか、何も言わず走りだした。
警察署の前につくと、白露がタオルで汗を拭いていた。さっきまでゲームしてなかったか?
「どうした? お前らいきなりログアウトして私抜きで遊んでたのか? …って違うのか? パン子ぜーぜーいいながら走ることはないもんな」
よ、よくわかってるじゃないか。
限界だ。もう限界だ。力のある限り走ったけどもう走れない。よくついていけたとおもう。わりとマジで火事場の馬鹿力みたいな感じだ。
私は息を整える。
「ん、あれは月乃の家の車じゃないか? 本当に何があった」
「ちょ、ちょっとね……。わりとマジで説明できる体力ない。けどあれはたぶん」
すると、警察署の前に黒い車が止まり、運転席から男の人が降りてくる。
月乃は「城ケ崎さん」と近づいたのだった。
「本当に月乃さんがいた……。なにをしたんですか?」
「なにもしてないわ。待ち合わせ場所としていっただけよ。それより、早く父さんのところに連れてって」
「わかりました。ですが先ほど祖父の人から月乃が家出したとかいっておりましたがどうなされたので?」
「家庭の事情に深くつっこまないことよ。あなたは私を連れてけばいいの」
「わかりました……。では、お乗りください。友人と名乗る方は?」
「わ、私です。私もついてきます」
「かしこまりました。ではお乗りください」
と、私と月乃が車に乗りこむ。
「私はどうすればいいのだ!? 私だけ仲間外れか!?」
「ごめん。埋め合わせはする。今は追手がいるから……そうだな。白露、あの車の前に飛び出すことできる?」
「できるか! 私も流石にけがはするぞ」
「だよね。じゃあ、なんとしてでも止めておいて。なるべく阿久津家に泥を塗らないように」
「難しい注文をするな……。だが、わかった。やってみよう」
と、白露が後ろの車を見る。
私と月乃を乗せた車は出発するのだった。
やっば完全に展開間違えてんじゃんこれもっと後に想定してたやつだ待ってすいません…
その、割れた卵の話は結構先になるかもしれません…
一週間分くらい予約してました…




