真っ白いパズル ②
パズルに没頭して、たまにご飯を食べてまた没頭して。
気が付くと二日が経っており、パズルはやっと半分にまで完成していた。二日没頭して半分かと思うが、ピースの数が数なので結構かかることはわかっていた。
なんていうか、これパズルがよほど好きじゃないと飽きて投げだしそうなレベルだ。
「一人でやるって言うのがそもそもの間違いだろうけど……」
本来は複数人前提じゃないだろうか。
まあいいんだけど。
モルはエサの時間になると遺跡の下にある森で獲物を狩ってきては自分で食べるという野性的な面を見せ、そして、モルは見張りも兼ねている。
正直今ここにプレイヤーが来られたら困るからだ。魔王城で見かけるやつ以外は入れるなといっておいたし、賢いので忠実に守ってくれるだろう。
「ガァァァァ!」
と、突然モルが階段を下りていく。
どうやら侵入者がいるらしい。プレイヤーには悪いが邪魔をしないでもらおうか。モルはSランクに属する魔物。そう簡単にやられるわけがないだろう。
私はまた、パズルに没頭することにした。
そしてまた二日後。
「あとこのピースだけだッ……!」
長かった。四日かかった。
何万枚ピースを並べたんだろう。私は最後のピースをはめ込むと、突然真っ白いパズルが光りだす。その瞬間、私はその光に吸い込まれていくのだった。
モルが心配そうに駆け寄って私の手を掴むが、私はパズルにどんどん吸い込まれていく。
「拷問か? 拷問なのか?」
完成させた挙句にこの仕打ちってなかなか辛いんだけど?
そして、私はパズルに吸い込まれたのだった。だがしかし、その瞬間、私を吸い込んだパズルがばらばらに砕け、そして、私も解放されていた。
「な、なんだったんだ?」
何の意味があったんだろう。
ばらばらになったパズルピースは消えてなくなっていく。私の体がパズルになった、っていうわけじゃなさそうだ。
新たなスキルでも貰ったのかもしれないな。どんなスキルかはしらないが……。
「ガァ?」
「さて、モル帰ろっか」
「ガァ」
そういってモルの背にまたがる。
魔王城では何が起きてるかは知らない。私の身に何が起きてるかも知らない。だがしかし、パズルに吸い込まれただけで何も起きないって言うのはないはずだ。吸い込まれただけならマジで恨む。
私は魔王城に戻り、ワグマの部屋の扉を開いた。
「ワグマー、鑑定して」
「突然帰ってきて何よ…。鑑定? って、あなた身長伸びた?」
「え? ゲームだからロリ身長にしてるしそれにゲームだから身長伸びないはずだけど」
「いや、うーん。なんていうか、大人になったって言う感じがするのよ。ほら」
と、鏡を見せてくる。
そこには、このアバターの未来の私って言う感じの顔が写っていた。落ち着いたような雰囲気な顔で、可愛いというよりかは美人。ただ目の下にはクマがある。
成長した?
「どうりでなんか体の感覚がおかしいと思った。だけどなんでって考えるとあのパズルか……」
「お、たしかにあるわ。大人になるスキルだって」
「なにそれ……」
「自分の未来の姿になる……って言うスキルよ。強制発動っぽいわね」
「未来の姿……?」
「パンドラ未来の姿……ってことよ。ゲーム内の」
ロリ体型だった私が成長したらこんなになるのか。
そうじゃない。
「あのパズルの労力とみあってねぇ……!」
「そうねえ。そのスキルだけみたいだし」
「もしかしてあれか? あれもガチャ見たいなもんか?」
多分スキルを手にすることができるのだが、あれはきっとはずれ当たりがあるんだろう。だがしかし、大人になるっていうのはどうなんだろう?
慣れない高身長で視点が違う。いや、言われて気が付いたけどたしかにワグマより小さく設定していた小学生の身長がなにやらすらっとした感じで私たちの中で一番身長が高いワグマと並ぶくらいだ。
ワグマは現実と同じ身長にしてるらしいので、身長はおおよそ174cmってとこだろう。
大人になる、ねぇ。
これがミキちゃんならぶっ壊れスキルが手に入ってた




