真っ白いパズル ①
私はある遺跡に来ていた。というのも、あるものを手にするためだ。
私たち魔王軍も広大な魔の森を全部把握しているというわけじゃない。だからわからないところもある。行ったところがないところもある。
そのいったことがないところの一つである雲に包まれた遺跡に足を踏み入れていた。
ダンジョンというわけでもなく、魔物の類は一切出てこない。が、一つものが置かれていた。
「これは、パズルか?」
パズルピースのようなものがじゃらじゃらと入っている。
遺跡にはちょいとかすれているが文字が書いてあり『このパズルを完成せし時、何かが起きる』ということだ。何が起きるってんだ。
だがしかし、不思議なのはこのピースが真っ白ということだ。それに、おおよそ万は超えてそうなピース量、相当時間がかかる。
数の暴力って怖え。
私はモルを呼び、モルに見張りを任せたのだった。
「とりあえず数日間はこの遺跡にこもりっきりかな。モル、まず街に買い出しに行こう」
こもるとならば、必要なものがある。
食料だ。このゲームは満腹感を感じる。つまり空腹感もあるということで、満腹度がなくなると数時間で餓死してしまう。
どの種族も同じなようなので物理攻撃が効かない私も死ぬということだ。だが、リンネの力があれば死ぬことはないだろう。なくなってしまったのが惜しい。
私はモルの背中にまたがり、街に降りて一週間分の食料を買い込んだ。
それと、魔法コンロというものも買い、鍋を買ってそのまま街を後にする。これから私は遺跡に引きこもるからな。外界と一時期シャットダウン。おさらばだ。
ワグマたちもわからないだろうし、一週間ぐらい探さないでくださいとだけメッセージを送っておいた。
これで邪魔される心配はない。どうしても私の助けが必要な場合のみメッセージ送れともいってるので緊急時以外は邪魔者はいない。
私は遺跡の床に座る。
「さて、何日で終わるかなー。最悪一か月はかかるかもしれないなこの量は……」
私はピースを並べ始めるのだった。
絵柄も何もない真っ白のピース。これの何が辛いかって絵柄でどこ置くか予測ができないんだよ。それに、数も数なので途方もない。宇宙飛行士の訓練にこういうのなかったか?
だが、私はこういうパズル系は好きなので一週間ぐらいなら没頭できる。
「これは、ここだな」
まず端っこから埋めてくことにした。いや、定石がそうだろうけど。
だが、本当に根気がいるな。飽きっぽい人ならすぐに投げ出しそうだ。
私は、集中を途切ることなく、パズルをせっせと解くのだった。




