成果に見合った仕事をしているか?
王城に戻ると鎧姿の兵士がソファに座っていた。
私とレオンが現れたことに驚きを隠せていないようだった。私は後ろを覗くとこちらをちらりと覗くアデュランがいる。やってくれたようだ。
私は兵士に向き直る
「騎士団副団長のユベル……。あなたも犯人だったのですね」
「は、犯人?」
私はユベルという男に近づき、剣とナイフを奪う。
「宰相と手を組み暗黒街の予算に着服していたんですよね?」
と、レオンも怒ってるのか尊大な態度ではなく、敬語を使っていた。
そして、落ち着かせるように深く深呼吸をしている。
「お前らがしたことは決して許されることじゃない。きちんと裁きを受けることだ」
「な、何言って……」
「ここに来たこと自体が証拠になりうるからねえ。観念した方がいいよ」
「わ、私は宰相に急ぎの書類があるからってことで」
「じゃあそのぽっけからはみ出してる紙はなに?」
「あっ」
と、急いでぽっけにしまう動作をするが、紙なんか飛び出しちゃいない。
やはりだ。あの紙を受け取っている。私にハメられたことに気づいたのか、顔を赤くして剣を返せ!と私にとびかかってきたのだった。
私は剣をアデュランのほうにぶん投げる。
「尻尾出したね? 私のブラフにまんまと引っかかりやがって。宰相共々そんな賢くないんだね。がっかりだよ」
「うるせえ! 暗黒街の獣人ごときになぜ国の金を使わなくちゃならないッ! 獣人ごときに使うなら俺らに使うほうがマシだろうが! 何が悪いってんだ!」
「じゃあ、その金に見合った働きをしたことはあるのかな?」
「もちろんしてるさ! 凶悪犯罪者の捕縛などなぁ! 見合った働きをしてきちんと対価をもらってるだけだぜ!」
と述べる。
だがしかしだ。もともとは暗黒街の整備として予算を渡されているのでその論理は通じない。私はぎろりと睨む。
「なら、ここに私って言う凶悪犯罪者いるのに捕らえられてないよね? 王城に侵入、商会を潰す、街を破壊し、町の住人の殺戮。私がやったことは第一級の犯罪行為でしょ? 私がいる時点で見合った働きとは言えないよね? だって目の前にいる凶悪犯罪者見逃してるんだからさ」
そういうと、黙ってしまった。
私がしたことは本来許されないことなのだ。貴族を殺し、王城にも侵入している。罪に問われないはずがない。レオンが私を捕らえる気がないっていうのもあるが、友好関係を築いているからこそだ。
「あなたは罪の重さを理解してながら繰り返すんですね……」
「そ。悪い?」
「悪いでしょう」
もっともなツッコミを受けた。
すると、後ろからいきなり刺されてしまうのだった。ユベルがナイフを握っている。まだ隠し持っていたようだった。
だがしかし。私には効かない。
「し、死ねえ! お前なんか死んでしまえ!」
「……なんかした?」
「なっ……! ちゃんと心臓あたりを突き刺したのに! なぜ……! 血も出ていない!」
「それは私の体が水で出来てるからだけど……。でも、もう言い逃れはできないよね。殺害にも失敗してさ」
「うるせえ! 俺は逃げきってやる! 伊達に実力だけで上ってきたわけじゃねえんだよ!」
と、部屋にかけてあったレイピアを手にしていた。
迂闊だったが、問題はないだろう。私は一気に距離を詰めるが、ユベルはレオンの首にレイピアを当てた。
「お、おい。良いのかよ。俺を捕まえるんならこいつを殺すぜ?」
と、レオンは冷たい視線をユベルに向ける。
そして、レイピアを掴み、そのままへし折った。ぽっきり折れたレイピアを捨て、窓をぶち破ろうと窓に向かって走り出すが、レオンがその折ったレイピアをぶん投げ、そのレイピアは足に突き刺さっていたのだった。
思わずの痛みに悶えるユベル。そして、捕縛され、地下牢に送られたのだった。
「これにて一件落着か。礼を言う。パンドラ」
「いいよ。乗り掛かった舟だし。てか無断で入ったのが悪いし」
「それに関しては今回のことがあったから不問に処す。今度から見たい場合はアデュランか私に言うといい」
といってレオンは仕事があるといって去っていった。
後始末大変だろうなー。




