喧嘩両成敗
現実でゲームをしていると、突然月乃からメールが入る。
『助けて』
なにがあった?
私は急いで月乃の家に向かうと、月乃の家には従姉弟がきているらしかった。
が、ちょっと騒がしい。執事さんに扉を開けてもらうと、なんていうか、その、一言で表すなら修羅場が起きていたのだった。
女の人が弟の首をチョークスリーパーで絞めており、その男もげしげしと蹴っている。
月乃は私の元に駆け寄ってきた。
「助けに来たのね! うちの従姉弟どもが喧嘩しちゃってさぁ……」
「これを止めればいいの?」
「いや、あんたは説教係。人の心おるのは得意でしょ?」
確かに得意分野ではある。
なら、もしかして喧嘩を止めるかかりって言うのは……。すると、後ろから白露がにょっと出てきた。白露は目の前の喧嘩を見ている。
「ほーう。派手にやっているな」
「白露、実力行使でいいから止めてきて」
「わかった」
白露は喧嘩の真ん中につっこんでいき、二人を一発ずつぶん殴っていた。
殴られたことが不服なのか、ぎろりと睨み、阿久津家に手を出すのかしら?と脅す始末ではある。だがしかし、月乃が二人の前に立つと二人はだらだらと汗をかいていた。
「私が許可したのよ。あんたら説教だからね」
「あ、あんたの説教なんて怖くねーぞ!」
「そ。だから私よりもっと怖い人に来てもらったのよ」
と、私を見てくるのだった。
しょうがないな。心おって喧嘩でもしないようにしてやるか。あまり気が進まないけど。
私は二人を正座させ、私は椅子に座るのだった。そして、そのまま沈黙の空間を作る。白露には正座を崩したら叩いてもらうよう指示した。
「正座を崩したら罰則な。今から説教するから」
「けっ」
男が正座を崩したので白露が思いきり木の棒で肩を叩いていた。
「いでええええ!」
「正座を崩さない」
「はいっ!」
私はそのまま黙る。
相手も黙り、月乃も言葉を発しない。私はそのまま本を読むのだった。後ろでは白露が見張っており、男たちは正座を崩せない。
そして一時間後。
「あ、ああ、あの! 説教はまだですか……」
「まだでーす。あ、これ面白」
「あ、あの始めるといって一時間くらい経過してるのですが……」
「そう?」
私はページをめくる。
二時間後。ついには泣き出した。足がしびれて正座を崩したら白露が容赦なく叩く。どちらにせよ地獄だ。早く終わってほしいと願うだろう。
だからこそ、心おるにはなにもしないっていうのがいいのだ。
「私が悪かったです! だから! だから許してください!」
「この通りッ…! 悪かった! ごめんなさい!」
と、二人が泣きながら懇願してくるので正座を崩す許可をしてやったのだった。
二人は、足がしびれており、白露がつんつんしているとちょっと悲鳴を上げている。二人は完全に心が折れていた。
多分私への恐怖心も少し生まれたかもしれないな。
「で、喧嘩の原因はなんなのかしら」
「えっと、俺が分家なのをいいことに偉そうにして……その、それで叱咤されて俺が逆切れしました……」
「そう。つまり女性のほうは悪くないと?」
「そうです! すいませんでした。あと、ごめんなさい……陽子姉さん……」
「い、いいわよ。私も暴力振るってごめん」
と、仲直りできたようだが。
ちょっと月乃は怒っている。笑ってはいるがあまり許してなさそうだ。
「で、あんたら。本家の娘である私が滅茶苦茶迷惑したんだけどどう落とし前付けるのかしら? もちろん私が満足するようなお詫びがあるんでしょうね?」
「「ひえっ……」」
月乃とこいつらではきっと財力に差があるだろうな。
二人とも完全に委縮していた。
「楽しみだわぁ。なぜわざわざ私の家に来てやる必要があったのかしらねえ」
「「すいませんでした!!」」
二人の綺麗な土下座が決まっていた。
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