王子へ顔見せ
飛行から戻ってきた二人はものすごく興奮していた。
「なんだあれ! すごいぞ!」
「興奮するわね! ものすごい疾走感を感じたわ!」
レブルがちょんちょんとモルを触っている。
モルはレブルの服の襟を嘴ではさみ、上空に投げる。そしてモルは空を飛び、レブルをキャッチして空の旅へ行った。サービス精神いいなー。なんて思いながら、帰ってくるのを待つと、十分程度で戻ってきた。
「……やばいです」
と、うっとりとした顔をしていた。
「こんなのが報酬だったのねー。私も鳥の卵にしておけばよかったわ」
「全部同じ種類とは限らんけどね」
私は移動手段も手に入れた。
あとは乗りやすいようにちょっと鞍とかつけさせてもらうかもしれない。私は早速モルの背中にまたがり王国へと向かうのだった。
王国の王城の庭に着地すると、王であるレオンとアデュランがこちらを見ている。
「よ」
「また派手な登場をするな……。それに、見たこともない鳥を連れて」
「ああ、新種」
「新種?」
「未発見だった魔物だよ。卵見つけて孵化させたら生まれた」
「ほう……。種族名はつけたか?」
「ロブストイーグル」
「学者に伝えておこう。強さはいかほどだろうか」
「ざっとSランクぐらいかな。めちゃ強いよ」
「なんと……。最高ランクの魔物か」
二人は近づいてくると少し警戒しているモル。
モルをなだめ、二人は羽根を叩いていた。
「堅い……。ちょっと力を込めるぞ」
と、アデュランは羽根に力を込めて引っ張るがびくともしていない。それに、曲げようとも力を込めてるっぽいが変形もしていなかった。
ぜえぜえと息を切らしている。
「堅い…。すごく堅い。なんつーか、隠れ力自慢だった俺の自信が砕けたぞ」
「たしかに。これを素材として加工したら防御力がすごそうだね」
「そもそも熱通るのか? 変形しそうにないが」
「それもそうだね」
と、アデュランが剣を取り出す。
「モル、ちょっと切れるかもしれないけどいい?」
「ガッ」
いいらしく頷いていた。
剣で羽根に切りかかるアデュラン。だがしかし、火花が散ったと思うと、アデュランの剣が真っ二つに折れた。が、羽根には一切傷がなかった。
触ってみても鋼みたいにつるつるしてる。些細な傷もないようだった。
「剣を折るほどの硬さ……! しかも傷がないね」
「これが野生で出るとすると怖いな。弱点は?」
「翼以外かな? 翼がでかいからガードされそうだけど」
と、背中とか腹部を触っていた。
「たしかにふかふかしてるな。ここなら攻撃が通りそうだ」
「羽根とかもらえたりしないだろうか。研究をしたい」
「だって。いい?」
「ガッ」
すると、羽根が二枚くらい地面に落ちる。
落とした羽根はすぐに再生するらしく、もう生えていた。
「おっも……! 俺じゃ到底持てないよ」
「たしかにこれは重い。兵士たちに運ばせよう」
ニホンに見せるのはこれでいいかな?
手の内を隠さないようにしておこう。とりあえず顔見世は終わったしそろそろ帰るかな。
「モル、帰ろっか」
「ガッ」
「じゃ、帰るよ二人とも」
「ああ、またこい」
私は空高く飛び上がり、そして、魔王城へ戻っていくのだった。




