魔王軍三人追加
彼女は泣き疲れたのか泣くのをやめた。
「あの、一ついいですか……」
「なに?」
「……私、どうすればいいでしょうか。国にも帰れなくて、魔王領でも裏切ったんです。でも、あなたたちは私を殺せないんですよね……?」
「よくわかったな」
「私、死にたくありません……」
自殺する可能性もない、と。
「なら魔王軍に入ればいいんじゃないの? 国に利用されていたって感じだから志望動機は十分。面接して受かりましたどうぞお入りくださいって感じなんだけど」
「……えっ」
彼女は驚いたような顔をしている。
裏切ったのになんで魔王軍に入れるんだろうとかそんなことを思っているんだろうか。
「君は利用できる。それだけ」
「そう……ですよね」
「君がやることは、変わらないよ。報告文を定期的に送りつけてくれればいい。だけど、その報告文には嘘を交えて送ってもらうけど」
「……はい」
「エリザベスあたりに検閲にだして、嘘を少し交えながら送ってもらって。国に嘘の情報を流す」
彼女はもうこちらの手駒。
国は利用してこちらを調べているみたいだが、こちらもそれを利用して嘘を送ってやる。賢いけど血筋なのかバカだなぁ。
やり方はこ狡いし、私みたいに卑劣。だけど、詰めが甘い。
「国への復讐……ということですね」
「お? 復讐心わいてきた?」
「はい。利用されていたと知ると……むかむかしてきました」
「その意気だ」
はい、陥落。
「パンドラってやっぱりパンドラよね。それで……広瀬先生」
「あ、私ミキね。こっちチリリン」
「どうもどうも。君たちミキの教え子なんだってね? いやー、さっきの断罪すごかったよ。またみたい」
「またって何度もやれるわけないがな」
「気にしないで。チリリンはビャクロさんよりバカだから」
「ひどい!?」
ええ……。
ビャクロも相当頭悪いんだけどそのさらに下を行く人いるの? いつもテストで赤点ぎりぎりのビャクロさんの下を行く人なの?
「名前だって打ち間違えてそうなったんでしょ」
「うぐっ……」
「昔から確認しないもんねぇ。こんな私たちだけど魔王軍はいるよ。いい?」
「構いませんよ。でも……ミキ先生は大人って感じするけどチリリンさんは大人って感じしない……」
「ぐさぁっ」
ぷるぷると震えるチリリンさん。
うわああああん! といいながら謁見の間を出ていった。
「あーあ。いーけないんだいけないんだ。せんせーにいってやろー」
「私が悪いの!?」
「そういうのは思ったにしても心の中に秘めておくんだよ。たとえそう思っても」
「なぁ、パンドラ。お前も相当失礼だと思うぞ」
「失敬」
「パンドラさんはもう確信犯だよね」
バレた?
「それはともかく、三人魔王軍入会、と」
「入会っていう言い方なんかやなんだけど」
「入信?」
「普通に入隊とかそういうのでいいんじゃない?」
「そうですね。じゃあ入隊」
魔王軍、増えました。
珠洲「チリン……と。ログイン! ……あっ。打ち間違えてリが一個多くなった!?」
原因これです。チリリンは間違いじゃないです。




