中間発表
今日でやっと現実空間で一週間が経過した。
今日はどうやら中間発表があるらしく、強制的にセーフティーエリアに転送され、画面に人が映し出される。AIの子だ。
『みなさん、イベントの進捗、どうでしょうか』
穏やかな口調で問いかけてくる。
進捗はというと、もう絶好調だ。むしろこの私とビャクロがいるので絶好調以外はないと思う。ポイントゲッタービャクロさんと、どう集めるか提案をしている私。
『一週間が経過しました。これが今の順位となります』
と、順位がずらーっと張り出され、私たちの順位を探してみる。
「お、まあ、一位よね。合計二百万八千ポイント……」
イフリート、ボス狩りしたのがでかいんだろう。
だがしかし、二位の点数を見てみると。百九十万という数字だった。予想外に高く、これは油断したら優勝はできないかもしれない。
これは引き離すしかないな……。イフリート倒した旨味があまりない感じがする。ポイントとしてはそこまでだったっていうことかもしれないが。
「二位がこんだけ集めてるのは普通に予想外。聞いたこともないギルド名だけど廃人プレイが多いと見た」
「廃人……」
「たぶん、最も効率がいい稼ぎ方を見つけたのか、それとも……」
「それとも?」
「水中エリアのデカいクジラを倒したか」
あのクジラは多分相当ポイントが高かったんだと思う。あれがイフリート並みのポイントがあるって言うのは普通に納得がいく。
それに、三位は九十万なのだ。百万も差がついているとなると……。少し気になるものがあるな。
「あのクジラを倒すなんてやるな……。こりゃ私たちもがっぽり稼がないと負けるな」
『あ、ちなみに、下位10位にいる方はあと一週間、得られるポイントが2倍となります。頑張ってポイントを集め逆転を目指しましょう』
と、AIがいう。
なるほど。たしかに下位は1080ポイントと、あまり残っていない。私たちとは千倍くらい違うっていうわけだが……。
そういうことをしてくるのね。悪くはない気がするが……。まあいいだろう。
『それに、全階層に乱入者が現れました。乱入者に負けてしまうとポイントを3分の2失ってしまいます。ですが、勝てたならばものすごく大量のポイントが手に入ります』
上位には痛いものだな。
少ない人はあまり痛くはないので何回も負けて挑戦はできるが……。私たちの場合負けてしまえば二百万八千ポイントから一気に六十六万ぐらいにまでへってしまう。負けてしまったら巻き返すのは非常に困難となる。だがしかしだ。
ワースト百位に入っている人たちが得れるポイントは2倍。百万ぐらい入ってくるならば一気に二百万が入ってくるっていうわけだ。つまり、順位が低い人ほどローリスクハイリターンとなっている。逆に順位が高い人はハイリスクハイリターンとなるわけだ。
なるほど、博打に出るか、安定して稼ぐか……。
『以上で運営からは終わりです。引き続き一週間、生き抜いてくださいね』
と、画面が消える。
「……どうするよ。乱入者」
「さすがに三分の二失うのは痛いわね……。でも、負けなければいいんでしょう?」
「そうだね」
「なら、やるわ。逃げるタイミングはパンドラ。あなたが決めてね」
「え、私?」
「あんたならベストのタイミングで指示出すから正直やりやすいのよ。それに、実力分析も早く終わるでしょ?」
「まぁ」
相手の力を読むのは簡単だ。
乱入者討伐、ねえ。やるしかないのか。
「……考えたんだけど、この階層モンスター居ないのに乱入者わくのかしら」
「さあ……」
「わからないからちょっと探してみようか。じゃ、いこ……」
と、扉を開けた先だった。
私たちの目の前に茨が通ったのだった。私は掠り、茨は私に気が付いた。もう乱入者?




