クジラから出るか…
「キリがない! やーめた!」
と、攻撃することを放棄するチリリンさん。
たしかにキリがない。この広大なクジラの中。攻撃しても攻撃してもキリがない。途中から飽きがきてしまうな。
私も地面に座りこむ。
「倒す以外に出る方法ないかなー」
「うーん……。私じゃとても……」
と、チリリンさんとミキ先生が私のほうを見てくるのだった。
まあ、無いわけじゃない。ここから出る方法はなくもないけど……だけど、なんかこのクジラの中にありそうな気がするんだよな。
こんだけ図体がでかいならきっと魔物じゃなくて宝も吸い込んでいてもおかしくはないと思う。
きっと結構レアなものもあるんじゃないかとは思うだけど……。
「出ます?」
「え、マジでできるの?」
「まあ、本当に脱出できるかどうかはわかりませんが」
私は水の壁を天井まで張り巡らせる。
うぐ、なんか体がだるい……! こんだけ広いクジラの中にこんだけでかい水の壁を貼ったんならそりゃごっそりと持っていかれるわっ……!
私は思わずふらつくと、マアヤさんが私の肩を支えてくれる。
そして数分後、吐き出すのか、地面が揺れる。そして、口の中に水が入ってきて、そのまま私たちは吐き出されたのだった。
水中に私たちだけ吐き出され、私たちは息をするために上がっていく。
「ま、マジで出れた!?」
「どういう原理……?」
「なんとなく塞いだら苦しいんじゃないかって。人間も何か詰まってたら吐き出しますよね? それと同じ感じで……」
結構無茶苦茶やったしできるとは思わなかった。
ああ、だるい……。
「お疲れ。ごめんね迷惑かけちゃって」
「大丈夫ですよ……。そういえばミキ先生たちって今ポイントいくらぐらいですか?」
「んー、一回試しに死んでみたら半分に減ってたんだけど、それでも私は五千くらいかなー」
死ぬと半減……。なかなか痛いな。つまりイフリートを倒したワグマが死ぬと五十万になってしまうということか。
私はあまりDP持ってないからいいんだけど……。
「一応敵だからね。私以外は教えない」
「そうですか……」
「パンドラさんも順調?」
「ええ、まあ。すでに百万は確保してるんで」
「「ええ!?」」
チリリンさんとミキ先生は驚いて私を見る。
初っ端から大ボスと戦ったのだ。普通は考えられないし、考えることもない。本来ならば検証に検証を重ねてやるんだろうが、検証なんて戦ってるうちにもできる。
さて、このステージをどう無視するかなんだよな。上の階に続く階段が……。
「そういやミキ先生たちってもともとここのエリアからスタートですか?」
「いや、上の階からだよ」
「あの、差し出がましいんですが……」
「どうする? マアヤ」
「いいんじゃない? おかげで出れたんだし」
「うん。いいよ」
よっし!
これでこのステージを無視してやる!




