謝罪と照れ
私がいつも通ってる美容室は中学時代の同級生がやっている。
その二階。私たちは、正座させられていた。いや、ただしくはいじめっ子たちが。私はというと、傍から傍観していた。
ちなみにここの引きこもり同級生、結構仲良くしていたりもした。私は一緒の部屋で一緒にテレビゲームをしていた。
「私もねー、VRやりたいんだけど、人が怖くて踏み出せなくて。まだ対面しなくていいこういうゲームのほうが楽なんだよねー」
「まー、VRは人の顔を直で見るからなー。あ、尻尾切った。で、どうする?」
「ど、どうするって?」
「今説教されてるいじめっ子。話してきたら?」
「えっと……。うーん……」
と、どうしても人とかかわるのが消極的になっている。
人間不信気味だったもんな。それもそれで仕方ないとはいえ。あいつらが謝れなかったら私が付いてきて来た意味がないだろうが。
私はゲームをやる手を止めた。
「夕波ちゃん。あんた変わりたいんだろ? 前々から言ってたじゃんか。変わりたいんなら一歩戸惑いなく踏み出しなよ。もういじめてくるほど馬鹿じゃないと思うよ」
「う、うん。わ、わかった! い、行ってくる!」
「おういけい……って、巨大モンスター居る目の前で!?」
コントローラーを手放していったので、私は電源を切っておく。
そして、一緒についていくのだった。一階ではお店をいったん閉じてまで説教しているお姉さんと正座して座っている足立君がいる。
「あ、足立君!」
「夕波、あんた出れたの?」
「ま、前から出れたよ……。そ、それより足立君話があるって聞いたんだけど……」
そういうと、足立君は立ち上がる。
そして、深々と頭を下げていた。
「悪かった! 謝る! 今までのこと。ごめん」
「……うん。別にもう、気にしてない」
「あ、ありがとう! お前は優しいな! まったく、昔の俺は馬鹿だったな……」
「へ? ひゃあ!?」
夕波ちゃんは急に手を握られたのが恥ずかしいのか顔を赤くしていた。
初心だな。なんて思いつつ、私はあることを思い出した。
「あっ…そういえば穂高くんがいじめてた子、たしか他県に行ったんだった…」
「……えっ」
「他県で一番いい高校いっていじめっ子たちに復讐してやるーとかなんとか」
「……復讐されるな。どんまい」
「き、聞いてねえぞ! お、俺どんな事されんの!? い、いやあああああ!」
ま、まあある意味こういった気持ちを抱かせたままなのも復讐か。
反省して謝れないって言うのもなかなか辛いものがあるな。いや、私もすっかり忘れてたけどそういや行く前に言ってたなそうやって。
どうでもいいこととかすっかり忘れるもんな……。
「ま、まあどんまい。じゃ、じゃあ私帰るわ……」
照れて動かなくなった夕波ちゃん、ひたすら感謝を述べる足立君と、崩れ落ちる穂高君。ちょっとカオスな空間にいられなくなったので私は退散することにした。
や、やっぱ休日はゲームしたいな! そういうことで! ばいばい!
ちょっと作者にとっても箸休め回です。
次回からまたゲームかな




