ちょっとした実験
イフリートを難なく倒したことにより、私のスキルのやばさを改めて実感できたと思う。
ポイントを稼ぐサバイバルゲームなんだけど、初っ端から飛ばしすぎただろう。それに、思いがけぬ氷神の能力によって更なる嫌がらせが出来そうだ。
「パンドラのスキルでどうにかなったけど……これ以上稼ぐ場合はどうすればいいのかしらね」
「そうだな……」
「え? 上に行けばいいでしょ?」
「「上??」」
ここがダンジョンの最下層だとして。
私たちが歩いて上の階につながる階段を見つけていない。ここに閉じ込められたというわけって考えてもいいが、それだとイフリートしか敵がいないことになる。
ここは、魔物が湧かないので、イフリート倒したらどうすんの?って感じだ。
だが考えると、地上に出れる方法はあるはずなのだ。ここにワープさせられたけれど、帰れないということはない。
「どっかに隠し階段があるはずだよね」
私は壁を適当に触っていると、一つだけ材質が違っていた。
こんこんと叩いてみると音が反響する。中が空洞だという証だ。つまり、ここをぶち抜けばいい。ここをぶち抜いたら上につながっているんだと思う。
私がぶち抜け、といおうとすると、突然怒声が聞こえてくる。
「な、何よこのマグマ!? なんで目の前に設置されてるの!? おかしくない!?」
「運営! バグじゃねえの!」
と、喚き散らしているようだった。
部屋から出てなかったらしく、作戦でも考えていたんだろうか。それとも役割分担? まあなんにせよ、部屋から出るのも、戻るのも躊躇するよな。ダメージ受けるもんな。
で、怒り声をあげて、足音を立ててこちらに進んでくる音が聞こえた。私はみんなに隠れるよう指示し、角に身をひそめる。
男女のペアだった。私はとりあえず道を水で濡らしておいた。で、私は水に触れる。
水はどんどん凍っていき、凍った水で男は滑って転んでいた。
「おわあ!?」
「こ、氷!? なんでこんなところに氷が…」
「二人、まずはしとめるか」
私は姿を現す。
「あ、あなたプレイヤー!?」
女は私を指さしてくる。
私はにやっと笑って、ナイフを投げた。ナイフは女性の眉間に刺さり、女性プレイヤーはポリゴンと化して消えていく。
クリティカル! ナイスゥ!
で、男のほうは近づいて心臓あたりを刺してやった。
「いっちょ終わり」
「戸惑わないわぁ……」
「なんていうか、やっぱり敵にしたくはないね……」
背後でそうつぶやくワグマたち。
私が意味もなくPKしたわけじゃない。とある実験をしたかった。もしかしたらPKしたら相手が持つDPを落とすんじゃないかと思っただけ。検証でやっただけだ。
結果は不発。どうやらDPを落とすことはないらしい。つまり、PKしても妨害ぐらいでなにも得はないってことがわかった。
「ちょっとした実験だったけどわかった。じゃ、上に行こうか」
私は階段の上を指さした。




