私の子供の頃のノスタルジー ①
私は電車に乗り、窓の外を眺めていた。
移り変わる景色。隣町、また隣町と遠くまで行っている。今日は学校を休んでいた。いや、学校で嫌なことがあったから遠くに行こうとかそういうわけじゃなく。遠くへ行きたいとかそういう気分でもなく。
私は数駅離れたところに降り、ある場所に向かった。
そこは墓地だった。
墓地のある場所。私たちのお母さんたちが眠っているお墓の前に私は立つ。今日はお母さんたちの命日なのだ。命日は学校も休み、お参りに来る。
……ただ、今日はなんか変なのいるけど。
「ねえ、なんでついてきてんの?」
「いいじゃない。私もパン子には世話になってるし。私もお参りさせて」
「私もな」
「はぁ……。私の母さんに二人あったことないだろ……」
「いいじゃない。義理よ義理」
「義理ってあんたな……」
私はため息をついた。
「パン子から両親のことはあまり聞かないがな、こういうのはしとくべきだと思ったんだ」
「何その変な使命感……」
「それでここ、パン子がもともと住んでた町?隣の県との隣接部じゃない」
「小3までだけどね住んでたの。今も私の家残ってるし今日はそこも行く予定なんだけど」
「あら、じゃあそこで話をしましょうよ」
「はぁ……」
私はため息をついた。
そして、墓地から数分歩く。墓地の近くに私がもともと通っていた小学校がある。グラウンドでは体育の授業か、わーっと元気にかけっこをしている小学生がいた。私はじーっと見ていると小学校の先生と目が合ってしまう。やべ、ポ〇モン勝負が始まる!
すると、本当にするつもりなのかこちらに近づいてきた。
「も、もしかして夢野さんじゃない?」
「ふぇ? あ、ナズナ先生」
私の小学三年生の時の担任が目の前にいた。
なぜか今校長室に案内されている。
校長先生もニッコリ笑顔。いや、うーん。この顔たしか教頭……。出世したんだな……。
「久しぶりじゃないか。夢野さん」
「はぁ……」
「小学校三年生の時に転校して以来かな?」
笑顔で校長がそういうけれど、その笑顔も消える。
「三年生の時はひどい事件だったね……。お姉さんも、君も……。もう、大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ」
私は笑顔で答える。
過去のことなんてもうあまり気にしていない……わけがないけど、まあ、過去はどうあがいてもやり直せないし受け入れるしかないわけで。
これも仕方ないかと半分あきらめの境地だ。
「で、なんでまたあんたらいるの?」
「なんでって、外寒いじゃない」
「学校の授業見学してろよ! ここ私しか知らない場所だしあんたらなんも関係ないでしょうが!」
「まあまあ。私だってパン子の過去は気になるんだ。ほら、自分から話そうとしなかっただろ?」
「そりゃちょっと気にしてるしそれに自分から話すのはなんだか悲劇のヒロインですって感じで嫌だったし……」
「それに、あんたの小さいときの話が気になるのよねえ。あんなことがあってこんな性格になったのはわかってるけど、その前の話聞きたいのよ」
「……たいして面白くもないクソガキだぞ」
「夢野さんも大変立派なお子さんでしたよ」
校長が笑顔でフォローいれた。腹立つ。




