夜の学校七不思議 ⑤
朝になった。
広瀬先生は起床し、私も起きた。今日は土曜なので学校はない。だがしかし、広瀬先生に昨日のことを打ち明けたのだった。
「え……」
「その、広瀬先生が宿直室向かった後に気づいたんです」
「……じゃ、じゃあここにはないわけじゃなくて見た人が殺されてるからってこと?」
「みたいです。で、多分その殺された人の死体を私は発見しまして……」
「いやあああああ!?」
蹲ってしまっていた。
すると、宿直室の扉が開かれ、白露と柔道部の顧問の先生が駆け付けてきていた。まだ朝の六時なんだけど……。
「あれ、パン子なんでいるんだ?」
「うーん。まあ暇だから来ただけなんだけど……」
「夢野、なにがあった? なぜ広瀬先生はそんな怯えて……」
「うーん。見せたほうが早いかな」
私は押し入れの扉を開ける。
そして、床下の扉を開き、先生に見せる。先生は顔を青ざめていた。
「な、なな」
「暴露すると、昨日一緒に広瀬先生と学校に残ってたんです。広瀬先生幽霊がダメって言うから。で、中学生たちが侵入していてそれを説教して広瀬先生が車で送っていったときに私がこれを発見したんです」
「い、今すぐ警察に通報しろ!」
「わ、わかりました先生」
白露が携帯を取り出し電話をかけている。
「生徒が残ったのは問題だが……。広瀬先生は大の幽霊嫌いって俺は知ってたしな……。とりあえず見逃してやるから……そういやお前も死体みたがなんもないのか?」
「うーん。私小さいときホントの死体見たことあるんで」
「そ、そうか……」
そして数分後、警察が到着していた。
白露の父さんも来たらしく、どうしたと尋ねてくるので、私は床下を指さした。白露の親は床下を覗き込むと口に手を当てていた。
「第一発見者は?」
「あ、私です」
「すまないけど、署で詳しい話を聞かせてもらえないか?」
「いいですよ」
私はパトカーに乗って警察署まで行くのだった。
事情を説明しおえたので学校に戻れることになった。
再び宿直室に行くと、大勢の生徒が宿直室の前に集まっている。珍しさかなんかだろうか。野次馬は善くないんだぞといいつつ、前に行くと。
「あら? なんでパン子が来てるのかしら」
「それはこっちのセリフだよ月乃さんよ」
「私は白露の練習見に来たのよ。来たらパトカー停まってるしどうしたのかなと思ったのだけれど……」
「私は広瀬先生と一緒に宿直。で、そん時死体を見つけたの」
「死体!?」
そう月乃が叫ぶとこちらを生徒たちが見てくる。
「その、わりとマジで幽霊の仕業だったんだよね。昨日黒い影が包丁を持って入ってきてさ」
「なんであんた平然と語ってるのよ……。襲われたって言うだけで結構なことじゃない」
「いや、土下座された」
「なんでなのよ!?」
「私の守護霊たくさん人を殺してるんだってさ。師匠って呼ばれてる」
「あんたゲームも現実も規格外なのね……」
まったく。
「っていうかガチ目にやばい目に遭ったから私以外は本当に夜ここにいないほうがいいよ」
「…………」
「七不思議あるでしょ? あれ三つか四つくらい試したんだけどあれ全部本物っぽいね。呪いのビデオは再生されるわ、職員室で誰もいないのにコピー機動くわ、広瀬先生が冥界に連れていかれそうになるわだったよ」
「それ聞くと試したくないわよ! もー! なんで今日こんな怖いこと聞かなくちゃならないの!?」
「あはは。ま、ぞっとする話だよね」
私は月乃の肩を指さした。
「肩に手が乗ってますよ」
「きゃああああああ!?」
「嘘」
「ば、バカーーーーッ!」
私は思い切りビンタを受けた。
まあ幽霊と死体ごときじゃパン子さんビビんないよ。




