夜の学校七不思議 ④
宿直室にいくと広瀬先生とその中学生がいた。
中学生は叱られており、広瀬先生は長々と説教をしている。
「忍び込むのはダメだよ。わかるかい?」
「はい……すいません」
「七不思議みたさで来てもダメ。ね?」
「よくわかりました……。も、もうやりません!」
中学生たちは本気で反省している。
そりゃあんな風にガチの恐怖体験したらトラウマにもなるだろうて。そのせいかがちがちに震えている。あのことがとても怖かったのか、もうやりたくないとまで言っていた。それを聞いた広瀬先生はため息をつき、家に帰りなと促していた。
「さすがにもう夜遅いから親御さんに迎えに……。ってもう寝てるか。はぁ……。じゃ、私が送ってくよ。車は学校前の駐車場にあるからいくよ」
「あ、ありがとうございます……」
「その、パン子さん。ちょっと一人になるけど……」
「いいですよ。また見回ってますね」
「ごめんね。今日終わったらお礼するからさ」
といって広瀬先生は中学生を連れて出ていった。
私はため息をつく。広瀬先生がいなくなってよかったと思っている。広瀬先生は気づいてなかったみたいだ。私は押し入れのほうを向いた。
ここは都市伝説が一つもなかった。学校の歴史という本を振り返っても、一つもなかった。だがそれって不自然じゃないか? 怖い話が一度もないっていうのは些か逆に不気味さがある。私も途中で気づいたんだ。そういう不自然さに。
「多分、ここで怖いことに出会った人は総じてここで消されている……。となると、殺されたって言うのが正しいだろうな」
押入れを開け、床下につながる扉を見つける。上手く荷物で隠されていたが、あると踏んでいた。私は恐る恐るその扉を開ける。
「ビンゴ」
その床下には、たくさんの骸骨があったのだった。
宿直室には都市伝説がない。なぜ都市伝説がないのか、それはここで消されているから。殺された死体はどこに処分する? ならここだろうと思っただけだ。
触りたくはないが、これは推測するに骨格標本でもなにもない。ただの骸骨だろう。人間の骨。これが今日一番怖いのだ。
「広瀬先生がいたら怖くて気絶してたかもしれないな。でも、これは警察に言わなくちゃいけないな」
人間の死体を見るのはこれで二回目だ。
骨にはなんも詳しくはないし、いつ死んだかもわからないが結構な年月が経っていることがわかる。長年ここで放置されていたんだろうな。
私は床下を閉じ、宿直室の畳に座る。
すると、突然宿直室のドアが勝手に開いたのだった。黒い影が中に入ってくる。その手には包丁を持っていた。
だがしかし、その男は包丁をその場に捨て、土下座してきた。ええ……。
そして、赤い血文字が浮かんでくる。
『あなたの守護霊……何人人を殺したんですか? 私より上です。どうか師匠と呼ばせてください』
「なんでだよ!? ここはその包丁で私を襲ってくるんじゃないの!? なんでテンプレから微妙に外れてんの!? おかしいだろ!? ここの幽霊共はよォ!」
『あなたビビらないんですか? ゆ、幽霊ですよ?』
「んなもんみりゃわかるだろう! 別に怖がるほど怖くねえし! 怖いものないんだよ!」
『は、初めてです……!』
「なんかろくでもないやつばっかだなうちの幽霊……」
私は一人ため息をつくのだった。
「まあ、死体を見つけた以上は警察に通報しなくちゃいけないし、それはいいよね?」
『はい。まあ幽霊が殺したなんて信じないでしょうからね』
「近年幽霊は実在するって言う研究結果が出たらしいよ。現に今私見てるし……。だから信じる人もいるんじゃないかな」
『……科学の力ってすげー!』
もうやだこいつ。
なんで幽霊と普通に会話してるんですかねぇ




