夜の学校七不思議 ③
次は視聴覚室の七不思議にした。
視聴覚準備室には何も書かれていないビデオテープがある。それを再生すると呪われてしまい不幸が訪れるようになる……とか。
不幸ねぇ。と思いながら懐中電灯片手に進んでいく。視聴覚室につき、私は中に入って準備室の鍵を開けようと鍵を差し込み捻ったが。
「開いてる?」
この学校は鍵はほとんどかけられていないが、準備室だけは基本的に鍵をかける。
大事なものとかが置かれており、それを盗まれたりすると困るからだ。だがしかし、開いているというのは些か変なものだ。昨日使った先生が閉め忘れた……なんてことも考えたがそれはないだろう。
誰かが侵入しているか、それか呪いのビデオを見てほしくて私を誘っているのか……。どちらにせよ、こういうホラー演出は溜まりませんなぁ。
その時、ちょいと物音がした。
「誰かいる?」
と聞いても返事がない。そらそうだわな。返事したら忍び込んでるのバレてるし、存在がばれるから脅かせないもんな。
私はデッキケースにいき、何も書かれていないビデオテープを探した。が、一向に見つかる気配はなく、全部もれなく確認したがなにもなかった。
デマだった、というわけだろうか。ならなんで視聴覚準備室の鍵が開いていたのかが疑問なのだが。これは侵入者の線が高くなったな……。
すると、準備室の外から悲鳴が聞こえてきたのだった。
私は急いで駆け出すと、そこにはテレビの電源がついており、そして逃げようと扉を開けようとしている男女数名がいた。
見たところ中学生くらいかな……? やっぱり侵入者かよ。はぁ。
「なにしてるの」
「ぎゃああああ!?」
「私は生身の人間だから安心しろっつの」
私はため息をついて頭を掻く。
テレビのほうに視線を向けると血まみれの女性の顔が画面に映されていた。すると、次は全部の画面に電源が付き、同じ顔が表示される。
そして、目の前のスクリーンに文字が投影された。
『お前も……一緒に死ぬ?』
と書かれている。私はビデオ機器のコンセントを引き抜いたが消える気配もなく、またテレビの電源が消えない。
これはまじの怨霊かもな。
「早く逃げなよ……。っていうか、あんたらあとで説教だからな」
「わかってます! 扉が開かないんです!」
「なに?」
私は扉を開けようと力を込めるが開かなかった。
ほう、閉じ込められたっていうわけか。なら、まあ別にいいか。私は電気をつけて椅子に座る。
「な、なにゆっくりしてるんですか!? こうなったら窓から……!」
「ここは三階。飛び降りれる高さじゃないっての」
「た、助けをっ……! 今電話して……!」
「友達を呼ぶんじゃない。被害者を増やしたいのか?」
「うぐっ……」
男の子と女の子数名は泣いてわめいている。
私はとりあえず思いっきり画面の女性を睨むと「ひっ……」という声がした。顔が少し怯えている。私は睨み続けると、そのまま扉が開かれた。
「え、さっきまで開かなかったのに!?」
「お前ら宿直室にいきなさい。そこが一番安全だから」
「は、はい!」
と、男の子数人が去っていった。
それを見計らったのか知らないが、画面の女性は話し始める。
『す、すいませんでした』
「いいよ。ほら、ビデオしまうから早くそこから出てくんない?」
『はい……』
画面から女が消え、ビデオが出てきた。
マジの呪いのビデオね……。これは放置していてはいけないのだが。ああ、そういや前キャンプである人に出会ったな。あの人に預けてみるかな。広瀬先生の知り合いだって言ってたし。
「とりあえず、七不思議はあと四つか」
全部は検証しないでもう帰ろうかな。
移動ですべて見回った気がするし。体育館は行ってないけどね。体育館もそういや七不思議のひとつあるんだよな。うーん。
七不思議の一つはボイラー室だから私は入れないし、あとは花子さんとか有名なもんだからいいとして体育館か……。興味ないからいいや。
私は宿直室に戻ることにした。




