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悪の魔王の作り方!  作者: 鳩胸 ぽっぽ
寒い月と私たち
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旧エヴァン帝国領見回り

 天国スキルを取得後、私はログアウトしてそのまま就寝した。

 そして翌日、ログインして旧エヴァン帝国……皇帝がいなくなった国に訪れていた。魔王であるワグマが様子を見に行けと言っていたので見に来たわけだが。

 書類上はみなにぎわっているという報告を受けていた。まさにその通りになっている。


 あの皇帝の圧政から解放された喜びからか、笑顔だった。


「ほへぇ、あんな皇帝がいなくなるだけでこうも違うのか」


 実はというと、皇帝がいるときに一度訪れている。

 というにも、この辺の地理には弱かったため、下見に来ていた。それと比べるとやはり活気の良さが違ってくる。

 税金に苦しめられていたからか、少しでも稼ごうとしていて物価も高かったが、税金は一般程度にまで下がったため物価も抑えられている。


 なるほど、ワグマが驚くぞって言ったのはわかる気がする。


 変わりようがすごいのだ。


「いやー、魔王様様だよなー」

「まったく。俺たちが気軽に冒険者をやれるようになったのも魔王様のおかげだよ。冒険者に対する法律なども整備してくれてさー、前よりやりやすくなったよな」

「魔王様って怖い存在だったけど俺たちをこうやって自由にやらせてくれるってことはいいやつなのかもしれないな」

「あとで魔王様に何か持っていこうぜ」

「受け取ってくれるかな?」

「さあ……」


 という会話も聞こえてくる。

 これはもう新たな指導者をたてれるような雰囲気ではないな。下手に違う人を立ててしまうと非難がよせられそうだ。

 魔王であるワグマがこの国を統治するしかないのだが……。人々の信頼を得過ぎたか。ま、これも仕方ないといえば仕方ないがな。


 しょうがない。ここは魔王国として扱ってもらうことにしよう。ただ、王城はニホンとオールランド王国の間にあるってのはちょっとなあとは思うし、私は屋敷を手にしたばかりだからこちらに居座るわけにもいかないしな。

 どうしようかなと思いながら、私は冒険者ギルドへ向かうのだった。




 冒険者ギルドに入ると、武器商人が来ていたのかテーブルに武器を並べていた。


「なにしてるんですか?」

「おう見ねえ顔だな。武器の手入れだよ。魔物の血が付くと切れ味が落ちるんだが……。戦闘中に研ぐわけにもいかねーだろ? だから冒険前の手入れだ」

「それは大事なことだな」


 戦闘前に自分の武器の手入れをするのはやったほうがいいことだ。

 いざというときに使えなくては意味がない。武器商人は必死に武器を磨いていた。だがしかし、笑顔で磨いている。

 仕事ができてうれしいのだろうか。もしかしてここも変わったところなのか?


「というか、あんた何もんだ? 新規登録ならあっちだぞ。なるんなら金はあるか? 登録料が必要だぞ」

「ああ、いや、入るわけじゃないんだけど……。ちょっと興味本位でさ」

「そうか。ま、以前と違ってギスギスもしてねーからよほど変なことしない限り絡まれないだろうよ。酔っ払い以外はな」


 酔っ払いはそら絡んでくるか……。


「へい、終わりやした」

「おー、俺と違ってピカピカだなァ。ありがとよ。いくらだっけか」

「1万ゴールドですわ」

「おう」


 金貨を一枚払っている。

 男は斧を手にし、眺めていた。確かにピカピカに磨かれていた。


「ちょっと貸してくれる?」


 私は男に貸してもらうよう頼んで、男は渋い顔しながらも貸してくれたのだった。

 私は斧を手に取る。刃先を眺め、そして、誰もいないテーブルのところに振り下ろした。辺りが騒然とし、貸してくれた男は私の胸倉を掴む。

 いや、ごめん。どんだけ切れ味があるのかなって好奇心で……。


「おいなんてことしてんだコラァ!」

「ごめんごめん。どんだけ切れ味があるのかなーって。あ、返すよ、ありが」


 その時だった。

 私の後頭部めがけて魔法が放たれたのだった。魔法は私に直撃し、ダメージを受ける。物理攻撃無効なの知っててダメージを与えてくるってことは……。


「なにしてるのかしら……?」

「あ、あはは。なんか来た」

「なんか……? って魔王様じゃねえか! 魔王様! こいつどうにかしてくだせえ!」


 と、男が私を突き出す。


「言われなくてもそうするわよ……。っていうか、よく胸倉掴む勇気あるわねあんた……。そこは褒めてやるわ」


 私は今度ワグマのアイアンクローが炸裂する。

 そういや自分に変身してるから物理攻撃今効くんだよな。現実の自分にだから……。


「す、すいませんでした。好奇心でつい」


 私は誠心誠意土下座した。

















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笑う門には福来る!
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
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