人間国の襲撃
司書室に戻り、また本を読むことにした。
すると、突然扉が開かれた。ビャクロか? ワグマか?と思って扉のほうを見るとそこには知らない顔したプレイヤーがいた。
人間族……だな。それに、剣を持っているということは対戦する気満々だろう。
「なんか用でしょうか」
「……悪の魔王め! 俺が成敗してやらあ!」
と、いきなり切りかかってきた。
おいおいおいおい。なんでそんな怒ってるんだよ。というか、よく侵入で来たな。警備……は雇ってないからいないけど普通、単身で突入してくるか?
というか、よくエディットとかに見つからなかったな。中庭で茶でもしてんのか?
「というか、私は魔王じゃないし……」
「魔王補佐だろう? それぐらいしってる」
「そう。ならいいんだけど」
私は弓を構える。
弓はタイマンだとそこまで強くないんだよなぁ。近くで打つにも隙がありすぎてすぐに切られるだろう。
でも、タイマン対策はしてないわけじゃない。
「わかったんなら死……!」
そして、そのプレイヤーがはじけ飛んだ。
後ろを見ると、リッチーのエディットが魔法を放ったらしい。
「賊が侵入していたということを見過ごしてました。申し訳ないです」
「いや、いいんだけど……」
なんで死んだかわかってなさそうだなぁ。
完全に不意打ち決まったし。
「それと補佐殿にお伝えすることがあるのです」
「お伝え? 魔王を見限るとか?」
「それはありません」
「冗談だから気にしないで」
だから睨まないで……。
「人間国から使者が来ております。魔王様と謁見したいと」
「……とうとう動き出したか」
「国もまずいと思っているのでしょう。参謀であるあなたさまもご同席くださいとワグマ様が」
「わかった」
まぁ、いろいろと対策を考えろということだろう。
だけどまぁ、人間側は仲良くする気はないのかもしれないな。さっき襲撃にあったし。仲よくする気がないんならとことん仲悪くしてやる。
友好条約とか結ぼうとしてきて、そのうち実はこっちが不利な条件だというのもある。不平等条約な。それをさせない。あわよくばこちらに利があるようにしたい。
人間側もそこまでバカじゃないやつが来るだろう。バカだと助かるな。
あと、さっきの襲撃も駒にできるだろうし。自分から駒を与えるとは……もしかしてそこまで頭が強いほうではないのか?
「ちなみに聞くけど国からは誰が来たかわかる?」
「王族は一人いますよ」
「へぇ……」
「なんかあくどいこと考えてますか?」
「いや、別に考えてないけど……」
え、そんな私あくどいこと考えてるイメージあるの?
ひどくない?
「まあ、行こうか。正義のヒーローたちのもとに」
「かしこまりました」




