ワグマをおとせ
レオンを王に押し上げ、私は少しだけ複雑な気持ちになっていた。
殺したわけではないが、あのままだとあの王は死刑確実だろうなー。なんて思いながら過ごしている。カイハの部屋で。
カイハの部屋でレブルが実験台にされていた。
「ちょ! やめてくださいぃ! 私に何するつもりですかあ!」
「慌てるなって。悪いようにはしねえから!」
傍から見れば百合してるようにしか見えない。
どちらも見た目は可愛い。こういった行為はちょっと見てて恥ずかしくなる。こういうのに案外耐性はあるが、結構百合も好きなために……うん。ごちそうさまです。
薔薇は無理だが百合ならイケる。
と、その時だった。
レブルが乗せられている機械のふたが閉じられ、レブルが中に閉じ込められる。そして煙が湧き、中から出てきたのは……男性だった。
ふぇ!?
「やりい! 性別転換装置! 出来たぜ!」
「な、なんですかこれえ!?」
「性別を変える装置だぜ! 女性なら男性に、男性なら女性になるすぐれもんだ! 俺様の才能が怖えぜ!」
うん。私も怖いと思うよ……。
……そうだ。
「ねえ、それ私もできる?」
「できるんじゃねえか?」
「なら私もやるー」
私も機械の中に入ったのだった。
私が男性となったらこんな感じかぁと鏡を見て確認した。
水色の髪が短くなっていてひょろっちい。筋肉ムキムキというよりかはショタのほうに近かった。でも、爽やかなイケメンって感じ。クマは健在。
なんだろう、我ながらかっけえなって、思います。
「ワグマたちにいたずらしかけてやろっと」
愛の言葉でも囁いてやるか。バレたら多分殴られるけど。
レブルは蹲っていた。レブルは普通にイケメンだった。少し筋肉質だけど、普通の体格で普通に顔がかっけえ。
と、そう考えてカイハの部屋を出ると早速ワグマに出くわしたのだった。
「あなた……だれ?」
「初めまして。僕はパールといいます」
「パール……。プレイヤーね?」
「あはは、わかりました?」
私は適当に笑っておく。
どうやら鑑定はされていないようだ。たぶんされたら一発でバレる。そもそも忙しくて鑑定するということを忘れているだけかもしれないな。それは僥倖。
「なんで見知らぬプレイヤーが魔王城にいるのかしら?」
「えっと……それはですね」
私はワグマに近づいた。そして、抱きしめ顔を近づける。
「貴方に会いに来たんですよ。魔王様」
「なっ……!」
顔がどんどん赤くなっていった。
ぷしゅうとショートしているように顔が赤くなって体温が熱い。しょうがないな。ネタバラシしてやろうか。盛大に笑ってやろう。
「ひっかかったー!」
「は、はあ!? あなた私に愛を囁いておいて!」
「まず私パールって名前じゃねーし! 鑑定してみなよ!」
「は?」
訝しげに私を鑑定したのか、どんどん顔が驚きの表情になっていた。
「あなたパンドラ!? なんで男になってるのよ!」
「あっはっは!」
「むきー! 腹立つわね! 騙されたわよ! 男になるなんて思わないじゃないの!」
「どう? 嬉しかった?」
「それは……まぁ」
そうだろうな。
ワグマがかっこいいと思うのはいい悪役だが男の好みはというと可愛い系が好きらしい。もろに私がタイプってわけだ。
だからこそ無抵抗だったんだろうな。
「じゃ、次ビャクロ堕としてくる」
「わ、私も行くわよ……」




