また、戦争がしたいのか! ③
私たちが本気の雪合戦をしていると。
「なにしてるんだ?」
「お、良いところに来たなタケミカヅチたち」
タケミカヅチ、ユート君、リオリオさんが魔王城を訪れた。
この光景を目にして目を丸くしている三人。
「雪合戦」
「これ、もう、雪戦争よ! パンドラvs私たち二人。どっちにつくか選びなさい!」
「え、えっと、随分過激な雪合戦……。あのマシンガンみたいなのなに?」
三人は状況が分かっていない。
まずいな。三人があっち側についたらこっちがマジの不利じゃないか。どうにかして私サイドに引き込みたいが……。
すると、ひょこっとタケミカヅチの後ろから二人の男の子と女の子が顔出した。
「ねーねー、この人たちもおともだち?」
「しめた!」
私は男の子たちを掴む。
「な、なにをするんだ!」
「この子たちに危害を加えられたくなかったら私の味方になってもらおうか」
「は、はあ!? 卑怯じゃねえ!?」
「やってることがマジの悪党だぞパンドラ!」
「うるさい! そっちサイドにつかれたらこっちが困るんだよ! それ以上人数を増やしてたまるか!」
「……おねーちゃん何かするの?」
「君たちがお姉ちゃんの味方になってくれたら何もしないよ」
「じゃあなるから許して!」
「お兄ちゃんたちにも頼んで?」
「わかった!」
女の子はタケミカヅチのところに向かう。
タケミカヅチはため息をついてわかったよと了承してくれた。だがしかし、ユートとリオリオはあっちについた。
うーむ、人数的にはまずいな。二人が言うには頭脳戦はめっぽう得意な私がいるからハンデってことらしいけど……。ちなみにタケミカヅチの兄妹ズは見学。さすがにぼくらの七日間戦争……じゃない、汚い私たちの本気雪合戦に参加させたらまずい。
「言ってくれたら味方になるから人質とらないでくれ。せめて弟妹は……」
「それはごめん。悪かった。五対一はさすがに状況的にまずかったしもっと大変になるから……」
「いいよ。で、俺は何をすればいい?」
「うーん、とりあえず落とし穴でも掘るか」
古典的な罠だけどね。
だがしかし、単なる落とし穴というわけじゃない。もちろん勝つための一手だよ。
「タケミカヅチ。ここに掘って」
「わかった」
どんどん掘っていく。
二メートルくらい掘ったところでよしとした。私はタケミカヅチを持ち上げて地上に戻すと、ユートとリオリオが現れたのだった。
森の中に隠れていたからここまでバレなかったとはいえやはり来たか。
「観念するんだな? おら、雪玉をぶつけてやるぜ!」
「観念? するわけないでしょ?」
投げられた雪玉を水バリアで防ぐ。
「効きませーん! 今バリアしてましたー!」
「小学生みたいなこと言いやがって! ムカつくな!」
と、走って近づいてぶつけようとしている。
無駄だよ。私に移動を邪魔するものはない。浮いてるから。雪に足を取られることもなければ転ぶこともない。
滑らかな移動ができる。
「ほら、来なよ二人とも」
「行ってやる!」
「ダメよ! 嫌な予感がっ!」
すると、落とし穴の前に立つ。
「んだよ、こんなのに引っかかる俺じゃ」
「ごめんね」
タケミカヅチが突き落とした。容赦ねえ……。でもやってくれるって信じてた。
落とし穴をすぐさま水バリアで塞ぐ。水バリアは凍っていった。閉じ込められてしまったユート。実質不能だろう。
どんどんと氷の天井を叩いている。
「俺火魔法もってねえ! 助けてくれ!」
「一人陥落!」
「雪合戦っていうから剣も何も持ってきてないわよ! 私が相手どれるとは思えないわ……。それに職業が盗賊だし魔法そんなに覚えないのよね」
「使えるのはタケミカヅチだけかよ! ちっくしょー!」
「そこでゆっくり見ていなよ」
「悪いな。今はパンドラさんの味方だから……」
私たちはリオリオに近づいていく。
そして、雪玉をぶつけ、リオリオさんはアウトとなった。




