また、戦争がしたいのか! ②
題名がこんなんだけど雪合戦です。
私は雪のマシンガンを構える。
「めんどくさい! つっきってぶちのめしてやるわ!」
「それはどうかな?」
鋭い雪の連撃がワグマを襲う。
だがしかし、ワグマだけが敵じゃない。ビャクロは近づいてきているのが分かっている。私は手で雪を作り、そのまま放ると、雪の煙幕ができた。
「甘い!」
「甘いのはビャクロだよーん」
私はビャクロの足を払うと、ビャクロはすっ転んだのだった。
雪という足場が不安定、かつビャクロ自体そんな慣れてないことからビャクロはいまいち得意の運動神経を発揮できていない。
だからこそ肉弾戦という勝負を仕掛けている。
「転ばせたからなんというんだ!」
「転んだら終わりなんだよ? 雪合戦って」
「そうなのか!?」
「騙されるんじゃないわよ! 普通は雪玉が当たったらアウトよ!」
「ちっ」
こっちには勝利条件が何もないからな。
あっちは私に一撃さえ与えれば勝ち、こっちは二人をダウンさせなきゃダメというハンデがある。おまけに二対一だ。
戦況的に言うならばこちらが不利というところだろう。
「騙しやがったな!」
「気づいた時にはもう遅いんだよ? おーらよっと!」
「おわっ!」
ビャクロが転んだ。
「い、いだっ! いてえ!」
「なんで!? 雪だから転んでもダメージはない……」
「私って水つかえるんだよね」
「……どういうこと!?」
雪に水をかけたら凍っただけ。そこら一面はもう氷だぞ。
今の気温が何度かはわからないが、水が一瞬で凍るくらいには冷たいらしい。だからこそ氷に頭を打ってダメージを受けたんだ。
地形も利用しないとね。
「かてえ! 凍っている!」
「……厄介な相手ね。水をかけて溶けさせて凍らせたとは……」
「だからこそ敵に回したくねー! ワグマ! 作戦は任せた!」
「この連撃を止めなければ考える余裕ないわよ! 防御で精いっぱいだわ!」
「考えさせないためにワグマを狙い撃ちしてるからね」
考える頭脳がなければビャクロは怖くない。
いや、正々堂々のタイマン勝負なら怖いが、こういった逃げながら戦うというのはビャクロにとってはよわいのだ。
「とりあえずその機械をぶっ壊せばいいんだな!」
「ほう、そこまでは頭はさすがに回るか」
「馬鹿にするな! その機械、壊させてもらうぜ!」
「させるかよ」
私は機械を指さした。
なぜ私がここまで戦っていたか、もちろん注意を私に向けるためだ。二つの作業を同時にするっていうのは結構疲れたんだけどね。
機械はというと、雪玉放出口以外氷に包まれていた。
「なっ!」
「氷を破壊しなきゃ機械は壊せないぜ」
「抜け目がないな!」
あらゆることを考えて対策を練るのが私だ。
ワグマは連撃で動けない。動くものなら雪玉がクリーンヒットしてしまう。ビャクロが抜け出せたのは誤算だったが……。
だが厄介なのはビャクロが持つ錬成というスキルだ。あれで氷を破壊できる……そうだな、岩ぐらいを生み出されたらこっちが困る。が、ワグマを封じている今、あいつにはそんなことに気づく知恵はない。
「私とタイマンするか? ん?」
「パンドラが素直にタイマンするわけないだろう!」
「よくご存じで」
不利な状況だからこそ頭が働くんですよ。




