さあ、私と一緒に踊りましょう ①
ビャクロを連れてきた。
後宮に私たちは出向く。そして、レオンの母親である人を見つけて声をかけることにした。隣ではアデュランが渋い顔をしている。
「あのーすいませーん」
「あら、なにかしら?」
と、妖艶に微笑む彼女。
とても魅力的な顔をしていた。が、これは多分ニセモノだろう。きっと魅了魔法をあわさってそう感じるんだと思う。
タネさえわかっていれば魅了されずに済むのだが。
「…………」
「…………」
二人が黙りこくってしまった。
タネがわかっていなさそうだ。大方魅了魔法は使ってるんじゃないかと予測していたので私には無意味だったんだが……かかってしまってるな。
言っておけばよかった。だが遅い。
「単刀直入に聞きますけど、あなた、悪魔ですよね?」
「あら? 初対面の人に向かって悪魔って結構な言い草ね」
「でも事実でしょ?」
「そんな事実はないわ。あなたのくだらない冗談に……」
私はその瞬間、懐から聖水を取り出し、かけようとする。
瓶を見せて感づいたのかその水を慌てて避けていた。
「知ってますか? 聖水には魔の者を追い払う効果があるんですって」
「あら、それが聖水なのかしら? 急に水を吹っ掛けてくるもんだから避けたじゃない。メイクが崩れるわ」
「あはは。すいません。あなたが魔の者と確認したかったので。あなたが悪魔じゃないと証明してほしいんで、このアヴェール特製聖水をかぶってもらえませんか?」
「嫌よ。濡れたくないし」
「なら、あなたを魔の者だと思って攻撃しますが、よろしいんですか?」
「私を攻撃するの? 重罪になるわよ? 国王様の側室であるこの私に手を出そうなど……」
「重罪? そんなんは別にいいんですよ。でも、正妃の息子に精神操作魔法をかけたって事実も重罪に当たりますよね?」
そういうと、笑顔が曇る。
目には目を、歯には歯を。重罪には重罪を。
「おおよそ、魔王軍である私たちにこの王子を殺して戦争を仕掛けたかったんでしょ? あんたの目的は知らないけど」
「……ふっふっふ」
「ようやく認めるつもりになりました?」
「ええ。認めるわよ。でも……ここであなたを始末してしまえば問題はないじゃない」
と、戦うつもりになったらしい。
「行きなさい二人とも!」
「「イエス、マム」」
と、ビャクロとアデュランが私と対峙する。
その二人に聖水をぶっかけると、正気に戻ったのだった。魔の力で動かされてるんなら聖水が効く。正気に戻った二人はどうしたんだろうと自分を見つめた。
「ビャクロ。相手頼むよ。そいつは魅了魔法を使って来てたからね。でも、タネがわかってしまえば効かないから、もう二人には効かないと思うよ」
「わ、わかった」
「俺が魅了されていたのか……」
「うん」
ビャクロはレオンの母と対峙する。
私たちはそれを傍から眺めていたのだった。
ちなみに章ボス




