トラウマを刻め
この一話のみです。時間なかった…
獣人たちを従え、あの街に放置している。
都合のいい手駒が手に入ったと思えば気楽だが、そうもいくわけにはいかないだろう。都合よく利用するだけではきっと訝しみ、信頼を失うかもしれない。
まあもっとも、そこまで敵対する奴もいないのだが。
「パンドラ! 武装した奴らがこっちに向かってるぞ!」
「帰ってきて早々これですか」
仕方ないなと思い、降りていくと、剣を持ったガキプレイヤーがいた。
小学生だろう。身長が小さく、私たちを見るや剣を構えていた。
「魔王! 俺らが成敗するーーー!」
「どうする? 相手は子供だが」
「どうも、やるしかないでしょ」
まだ真正面からどんっとぶつかってくるあたり子供っぽいし助かると言えば助かるが。でも最近小学生だってイキるからなー。お前は偉くないっての。
力の差を見せつけるしかないんだろうな。大人をなめてるクソガキは。
「手加減しなくていいからな」
「だが」
「後味はよくないが勝負を仕掛けられて本気で行かないっていうのも失礼だろ?」
「それもそうだ」
ビャクロは簡単に言いくるめられ、私たちは小学生と対峙した。
子供は癇癪を起しやすい。が、トラウマを刻みやすい。容赦はしない。ゲームをなめていてはトラウマなんか簡単に刻まれるのだ。
「子供だからこそ魔王を倒す勇者に憧れでも抱くのかもしれないな……。君たち同じ小学校かい?」
「子供だとなめてんじゃねえ! 俺らは強いんだぜ!」
「質問に答えないか……。まあいいさ」
子どもたちは剣を大きく振りかぶる。
その一人の攻撃を躱し、首を絞める。ビャクロは一人を掴み、地面に強く叩きつけていた。本気で行けって言ったけど本気で行きすぎな?
だがしかし、これで少しは恐怖が刻まれるといいのだが。
「く、くる……!」
「私はこういう自分が強いとかつけあがるやつが大嫌いなんだよね。自惚れが過ぎるっていうかなんていうか。井の中の蛙大海を知らずってやつだよ。強いのは自分たちのグループの中での話でしょ?」
「くそ……が!」
「こういうなめ腐ったクソガキに大人の怖さを教えるのも私たち魔王軍の役目だよねー」
私はもう一方の手にナイフを構える。
「いじめられたって親に訴えてもいいよ? 先に喧嘩を仕掛けてきたのはあんたたちだけど私たちが悪役でいいからね?」
「は、離せ! そいつを!」
「離す? 離したらもしかしたら殺されるかもしれないしなぁ」
「は、離さないと俺がお前を倒す!」
「倒す? そう。じゃあ、選んで。私がこいつを離すから一緒に帰るか、私を倒してこいつも死ぬか。はい、二択」
そういうと、彼は悩んでいた。
「わかった! 一緒に帰る! だから離して」
「しゃあないなぁ。ビャクロ」
「ああ、わかった」
私たちは男の子を解放する。
が、私は解放した男の子の背後からナイフを刺した。
「なん……!」
「帰らせるわけがないでしょタダで。喧嘩吹っ掛けておいて負けたんで何もしないで帰りますっていうのはどうも好きじゃないんだよね」
「ひ、卑怯……!」
「姑息、卑怯が私だからね。ま、喧嘩吹っ掛ける相手を間違えたってことだ」
その男の子は倒れてポリゴンと化して消えていく。
ほかの二人は逃げていってしまった。ま、これでトラウマが刻まれたかもしれないな。少しは。
「やりすぎじゃないのか?」
「やりすぎなくらいがちょうどいいの」
基本的にパン子ちゃん年下にも容赦はしない。
子どもだからっていう理由には絶対にしない鬼畜。




