お嬢様学校にいくお嬢様 ③
健斗と呼ばれた男性は吽神さんと話していた。
「あら、苑木じゃない。元気してる?」
「お前は……」
「顔を思い出せないなんて失礼なこと言うつもり?」
「あまり人の顔覚えるの得意じゃないんだ」
月乃とは仲良く話してやがるぜ。
お金持ちコミュニティは私ついていけねえな。下手に出なきゃどうなるかわかんないからな。潰される可能性だってなくはない。だって私お金的に余裕ないほうだし。
大企業の息子とかになるとほんとわがままそうだもんなー。
「月乃だろう?」
「わかってんなら最初から呼びなさい」
「すまないな」
「仲いいなおい」
私がそう茶々を入れるとぎろっとこちらを睨んでくる。
それくらいでビビる私じゃない。それでびびってたらなにもできるわけがないのだ。もちろん私は睨み返し、舌打ちまでしてやった。別に他意はないけど。
すると、気分悪くしたのか不機嫌な顔をして顔をそらした。
「どうしたの?」
「すげえこいつに睨まれただけだ」
「パン子……」
「だって睨まれたら睨み返せって……縄張り争い?」
「あんたは動物か!」
弱者は死ぬのみだから案外動物社会と同じだよ人間社会も。
「魔子、先生が呼んでいたぞ」
「あら、ありがとう。でも私案内があるけど……」
「俺がしといてやる。いけ」
「すまないわね。喧嘩するんじゃないですよ」
といって吽神さんはお淑やかに歩いていった。
「吽神さんはお淑やかだなぁ。金持ちの鑑って感じがする。月乃は……」
「なに? なんか文句でもあるの?」
「こうだもんなぁ……っていたいいたい!」
月乃は私の頭をアイアンクロー。ぎりぎりと力を入れてくる。お淑やかさのかけらもない。それでもお金持ちか! しっかりとお淑やかに! 淑女になれよ月乃!
「お前ら仲いいな」
「親友ですもの」
「こんなことするやつ親友と言いたくねえ」
「あら、ごめんあそばせ。うふふ」
月乃はやっと私を解放したのだった。
「とりあえずサロンでも行こう。月乃は一員じゃないから普通は入れないが家柄が家柄だし俺が入れれば大丈夫だろう。だがあんたはだめだ」
「あ、そう? なら一人で探検してるわ」
この苑木ってやつにハブられたんで一人で探検することになった。
それぞれが個別行動ってどういうことだよ。まあいいんだけど。ゲームでも基本私はソロでやるからなー。どのゲームでも同じで基本ソロプレイの私だ。
一人にはとっくの昔に慣れている。
「パン子も連れてきなさいよ」
「キミは家柄がいいがこいつは違うだろう?」
「はぁ。あんたねえ。まあいいわ。お金持ち相手って結構厄介だしパン子は探検……させたらだめね。あんた敬うことしないものね」
「…………」
「嫌なことをされたら相手を潰しにかかる子だものね……」
「……返り討ちに遭うぞ」
「これが意外と大丈夫なのよ。自分だとわからせずに犯行を行うから」
「あんたは暗殺者か何かなのか?」
失敬な。一般的な女子高生です。




