お嬢様学校にいくお嬢様 ①
私たちは聖蘭学園というお金持ちが通う高校に来ていた。
白を基調とした中世風な外観で、女子の間では制服が可愛い、また、お嬢様おぼっちゃまばかりで品がいいと言われており、偏差値もかなり高い部類だ。
本来は月乃はこっちの高校に入る予定だったんだよな。
「うわあ、外観からお金持ちって感じじゃん」
「いいじゃない。見栄えをよくするために金を使うのは別に悪いことじゃないわよ」
「偏差値が高いんだろう? 私では到底入学はできないな」
と、笑うビャクロ。
今回の用件はこいつに関することで、私たちは単に付き添いに来ていただけだったりする。柔道が強い相手として呼ばれたらしく、こいつもこいつで案外乗り気だったり。
私たちはこの学校を探検してようと思う。
「お待ちしておりました。球磨川様でございますか?」
「おう。私が球磨川だが……。執事っていう風じゃねーな」
「ああ、私は柔道部マネージャーの立川ともうします」
マネージャーですらこんな品がいいの?
お嬢様学校はやっぱちがうな。私たちが通ってる柔道部のマネージャーなんて『あんたが球磨川か? わたしゃ柔道部マネの…』って粗暴な感じがする奴な。育ちの差か……。
「でそちらは……」
「私は阿久津。こっちが夢野」
「付き添いだ。私一人で来るのは寂しかったものでな。私がお願いした」
「さようですか。では、体育館まで案内いたしますね」
「じゃ、私たちは探検してるから」
「おい、月乃がいないと丁寧な対応が出来そうにないのだが」
「大丈夫よ。パン子と違って結構礼儀正しいんだから変に相手を煽らなければ顰蹙買うこともないわよ」
パン子と違って……。私礼儀正しいのに。
「パン子は礼儀を知ってるけどあえてしないでしょ」
「あはは。よくわかってる」
流石長い付き合いのことはあるな。
礼儀とかかったるいし同年代なのにわざわざ礼儀とか気にしたくないし。クラスカースト上位にいる私のわがままです。
「ここは金持ちの坊ちゃん嬢ちゃんが通う学校なんだから少しは礼儀正しなさいよ」
「みんな月乃みたいに接したいなぁ」
「ダメよ。私は寛容なお金持ちだから許してるけど、結構金持ちの子ってわがままなのよ。わがままだから学校との練習試合じゃなく、白露だけを呼んだのよ。それだけ庶民は下に見られてるってこと」
「ま、別にいいんじゃないの。私は実害がなければそれでいいし」
スリッパに履き替え、校内を散策していた。
うへえ、内装もすっげえきらびやか。金かかってるなぁ。やっぱり見栄だけじゃだめで中もしっかり拘りたいタイプか。
こういう高校、通ってみたい気もするな……。
「……おい、邪魔だ」
「ん? あ、すいません」
玄関ホールの出口から、廊下を覗いているとかっこいい男の人に邪魔だと言われたので素直に退けることにした。
まあ、たち塞いでいたからね。邪魔していたのは本当だ。でも、俺様って感じがするなー。お金持ちってやっぱこうなの?
「あら? パン子さんではないですか。それと月乃」
「それとって結構な挨拶よね。そして、あんたもここだったっけ」
うお、超久しぶりの吽神さんじゃないですか。




