魔王軍のハーヴェスト ⑨
《収穫祭がもうじき終了となります! 集めたかぼちゃを神に捧げましょう! 数が多ければ多いほど神が喜び褒章を与えてくれることでしょう》
というので、とりあえず魔王軍にある祭壇に集めたかぼちゃすべてを捧げた。
場所をとるのでとりあえず部屋いっぱいにかぼちゃを置いた。すると、しゅんっという音が聞こえた後、私たち三人は別空間に移動させられていた。
そして、目の前に控えるは海王神、メルセウスと、ニンジンスティックをぽりぽり齧ってる女性がいた。
「お久しぶり~。元気に眷属してるみたいだねー」
「ま、眷属っちゅう割にはひどく暴虐を尽くしておるではないか。国を一つ潰したのは滑稽じゃったわ」
「まーまー。悪意でやったわけじゃないんですから」
誰だろうこの女の人。
「で、そこの二人は多分初めましてだよね。私はメルセウス。海王神様だよ。で、こっちが創造神アトラクス様ね」
「うむ。ニンジン食うか?」
「いやー、君たちすごいカボチャ集めてきたから呼んだんだよね。うちの創造神はベジタリアンっていうか、大の野菜好きでさ。一番野菜の美味しい時期に各大陸で野菜モンスターを出そうっていってるんだよね。みんなに食べさせたいからって」
野菜のうまさを知ってほしい……考え方が農家なんだよな。この創造神……。
「でも野菜農家の苦労を知らないで食べさせたくないっていっててさ。ならモンスターとして出せばいいよってローキッスが言ったんだよ」
「苦労して食べる野菜は格別。美味い」
「ま、よく頑張ったね。アトラクス様から何か褒章があるらしいから受け取るといいよ」
随分とまぁ安っぽいというか、親しみやすいというか……。
マイペースそうな神様だ。
「今まで千以上を捧げたものはいたとしても万以上を捧げたものはおらんかったわ。ようやった。とりあえず個々何が欲しいか言ってみよ」
「神になりたいとか言っても大丈夫?」
「構わぬぞ。それぞれ役職を持つ神にするか……。海王妃であるパンドラはいいじゃろべつに?」
「まあいいけど最初からハブられてるなぁ……」
今ので満足しているし問題はない。
「ふむ、ビャクロはケラトドスの眷属、ワグマは私の眷属にするかの」
「え、アトラクス様!? 眷属をお持ちになるのですか!?」
「意外か?」
「え、ええ。今まで眷属を持ったことはないじゃないですか」
「そりゃいいのがいなかったからじゃ。創造神の眷属ともなると能力がすごくなるんじゃぞ? 並大抵のやつにやるわけないじゃろ」
「そりゃそうですが……」
「じゃ、けってーい!」
「……ケラトドスの眷属のほうはケラトドスに伝えるんですよね? 正直行きたくないんですけど……」
「ああ、暑苦しい男じゃからのぅ」
ケラトドスって破壊神だったか?
暑苦しい男が破壊神……。なんか嫌な予感がするな。私は海王神の眷属でよかったー。




