魔王軍のハーヴェスト ⑧
私の相手はパンプ神なんだけど……いうことは特になかった。
なぜならば、バフをもらったレブルが圧倒的すぎるからだ。レブルは剣を構え、一閃。パンプ神の巨体が膝をついた。
そして、その隙を見逃すレブルではなくて、レブルは膝をついた隙に相手を攻撃していた。私の役目はほとんどないに等しい。
活躍したい、とは思っているけれど、変なところでしゃしゃりでるのはむしろダメということはわかっているのでただただ傍から傍観していた。
「はああああああ!」
「チート過ぎるわよねこの子……。パンプキングからバフをもらってるからそれに拍車がかかってるわ」
そして、勝負は呆気なく幕を閉じた。
パンプ神の巨体が倒れこみそうになり、光に包まれて、粒子となって消えていく。そして、辺り一面にかぼちゃの雨が降るのだった。
数えようにも数が多すぎて数えられないっていうのが……。これを全部回収するのは無理だ。少なくとも一人じゃ……。
「とりあえず拾えるだけは拾っていきましょう……。魔王城を往復するわよ」
私はレブルにそう指示を出すと、がさがさっと茂みから音が聞こえたのだった。
私は注意をそちらに向けると、パンドラとビャクロが一緒に茂みから出てきたのだった。
「すげー、誰が倒したか知らないけどかぼちゃ大量じゃん。横取りしてこうぜ」
「手柄泥棒ではないのか?」
「いいんだよ。悪の魔王軍だぞ? これぐらい……」
私はちょっとムカついたのでパンドラの頭にチョップを食らわせるのだった。だがしかし、液体を殴ってるために効果はない。
「って、ワグマ? なんでここに?」
「なんでって相手してたのが私たちだからよ」
「……これワグマが倒したの?」
「いや、レブル一人で」
「バケモンかよ……」
少なくとも私たち三人で多分ようやく倒せる敵だと思うのだ。
それを一人で相手するバケモン……。バフありきだけど。
「力が湧き出たので勝てました! もし通常状態だったらたぶん勝てませんでしたよー……」
「勝てる時点でもバケモンだよなこれ……」
珍しくパンドラが素で驚いていた。
パンドラは相手にわざと笑うことはあっても自然と笑うこととか少ないのでこういったのは結構レアだったりする。
「とりあえずかぼちゃ運ぶわよ。あんたらも狩ってきたんでしょ?」
「ま、雑魚だったけどな」
「ビャクロ雑魚と戦ったの? こっちもこっちですっげえ強敵だったんだけど」
「パンドラはどういう敵だったのかしら」
「かぼちゃのドラゴンだったかな……。カイハが戦えないから私一人で戦ってたんだけど……。マジで疲れたよ」
「パンドラが疲れるって結構相当よね」
パンドラ自体勝てない勝負はしない、らくらく勝てる勝負ばかりをするので勝負で疲れるということがほとんどない。まあ、パンドラはどちらかというとというか、完全に頭脳派な人間なので暴力はビャクロ任せるのが一番なんだよな。
「とりあえず、魔王軍にこれ全部拾わせよう。これだけあればハーヴェストは十分だろ」
「そうね。この数だけでも千は超えてるんじゃないかしら」
「もうかぼちゃの海だな」
私たちはたくさんかぼちゃを拾って帰ることにした。




