魔王軍のハーヴェスト ⑥
パンプクイーンは疲弊していた。
私が圧倒するかのように弱い。話にもならなかった。
「本気出せよ。さっさと。つまらないだろう」
「わ、わかったわよ……!」
と、相手の姿が変形していく。
人の形は面影もなくなり、どんどん肥大化、そして、カボチャの顔になっていった。現れたのは三メートルはあるだろう巨人。
顔がかぼちゃだが……強くはなってそうだ。
「おもしれえ。こい」
「ぬがあああああ!」
クイーンはその巨木みたいな腕を振り下ろす。
私はそれを躱し、それを上っていった。そして、爪で顔を思いっきりひっかくともがくように顔を押える。
固くはない。ちまちまやっていったらやれる。簡単な相手だ。
苦戦は多分しないだろうな。
そして、あっけなく終わりを迎えた。
パンプクイーンは元の姿に戻り、地面に倒れる。
「わ、私の負けよ……」
「ふん」
ばたんと地面に倒れ、光の粒子となって消えていった。
そして、残ったのは大量のかぼちゃと数個の黄金に輝くカボチャ。私はそれを何も考えずにアイテム欄に詰め込んだ。
パライゾにも少し持ってもらい、全部回収し終えたのだが。その瞬間、大きな爆発音が聞こえる。
「な、なんだ!?」
「お、おいビャクロよ! あれをみよ!」
と、パライゾが指をさすのはでかい巨人兵だった。
パンプクイーンとは比べようもなくとてもでかくて、ここから肉眼で視認できるっていうことは相当デカいはずだ。
さっきの爆発音と何か関係があるんだろうか。
「アレと戦うのは正直避けたいな」
あれは複数人前提とみた。
一人で戦うのは無謀というものだ。勇敢と無謀は違う。無謀な勇気は死を待つのみだ。蛮勇というべきだ。
戦わないで帰るのが一番よさそうだ。あまり体力を消耗してないとはいえ、あれと戦うのはごめんだな。あれと戦うのはパン子みたいな血の気が多くて好戦的な頭おかしい奴だろう。
「でも誰か戦ってるようだな」
「攻撃しておるのぉ……。様子見に行くか?」
「いや、いい。下手に近づいて死ぬぐらいならここで見ていよう」
「それもそうじゃな」
「きみこあやうしに近寄らずだ」
「公子?」
君に子ってかいてきみこ。
「君子危うきに近寄らずじゃないのか?」
「……そうともいうな」
「……」
勉強できないんだ。こういう言い間違いはあるさ。
「とりあえず、この森の中じゃ見えづらいな。場所を移そう。たしかあっちに平野があったな」
「あっちの平野爆発が起きていなかったか?」
「そうだったな……。爆発系の魔物いただろうか。結構な爆音だったから結構な爆発だったんだろうが……」
「火事になっていなければいいが……」
火事……! その可能性は考えていなかった。
「しょうがない、向かおう。火事になっていたら大変だ」
「そうじゃな。まあ、敵がいたら戦うのはこのパライゾになるがの……。ほとんどタイマンじゃったしなあんた」
「団体戦は苦手だ」
タイマンのほうがやりやすい。




