魔王軍のハーヴェスト ⑤
焦げたところは柔らかくなっており、簡単に皮がむけた。
こりゃ勝ちました。ということで、硬い装甲が亡くなった瞬間、雑魚になった。中身である柔らかい部分が弱点らしく、あっけなく体力を削り切れたのだった。
「勝ち!」
私はピースを天高く掲げる。
すると、カボチャゴンが光の粒子と化していき、そして、ぽんっとかぼちゃが百個くらい目の前に現れたのだった。
数が多いな。数が多いほど強敵だった証というべきか。それに、百個の中に数個黄金に輝くカボチャがある。品種なんだよこれ……。
まあいいさ。全部しまおうとすると、プレイヤーの一人が少しかっさらっていく姿が見えたので、適当に殺しておいた。
「人の努力を横からかっさらおうなんてクズな真似してないで自分で稼げ。魔の森で狩ることに文句言うわけじゃないんだから」
「くっそーーー! やれると思ったのに!」
男はポリゴンと化して消えていった。
男が持っていこうとしたカボチャもしまって、全部アイテム欄にしまう。全部しまったことによりアイテム欄がいっぱいいっぱいだ。ぎゅうぎゅうで、少し整理しなければもうかぼちゃは入らないだろう。
というか、もうドラゴンの相手はしばらくしたくないな。ほとんど一人プレイだったし。
「カイハ、かぼちゃを詰める機械ある?」
「もちろん収穫祭用に開発したもんはあるがいれるか?」
「もちろん。あとは雑魚とか適当に狩ってやるさ」
目の前には巨人が見えるけれど。
あれを今相手どるのはごめん被りたい。ただでさえドラゴンの相手で疲弊してるのによ……。もう無理。現実世界なら筋肉痛で全く動けないくらいには動いたし苦戦した。
私は野原に寝転がる。
「あー、疲れた」
「お疲れ。すまねーな。俺様戦えねーから」
「気にするな。はぁ」
こりゃ、カボチャを一番手に入れたのは私かもしれないな。
ビャクロとワグマがどんな敵と戦ってるかは知らないが、これ以上の魔物は滅多にいない気がする。あるとしたら……あの巨人なんだけど。
あれなぁ。どう考えても強いよなぁ。ドラゴンより強そうだよなぁ。ドラゴンが守りに特化したかぼちゃの魔物としたら、あれは攻撃に特化した魔物。私たちの中で一番守り堅いのワグマだしチート級の強さがあるレブルもあっちにいるからなぁ。戦わせるとしたら今はワグマかな……。
「って誰か攻撃されてんなー? 攻撃モーションしてるってことは」
棍棒を振り下ろしている。
かぼちゃの棍棒……。いや、たしかにかぼちゃで人殺せるくらいには堅いしな……。かぼちゃの巨人兵……。あれも一筋縄じゃ無理な相手だなー。
「ほかプレイヤーもいるってことだろうし、ほかプレイヤーもかぼちゃを狩ってる。早いとこ帰ろ」
あの巨人兵は誰か頑張って倒してください。
多分あれ複数人で挑むこと前提の強さだろうし。負けてもいいんで。




