魔王軍のハーヴェスト ②
ビャクロ視点です。
私は森の中を歩く。
「ふむ、戦うなら強い奴とがいいな」
「そうじゃなあ」
パライゾと共に森を散策するが目立った強さを持つモンスターはいない。だがしかし、幸運が私の目の前に現れたのだった。
私の目の前に、カボチャに乗った女性が現れたのだった。
「あなたもかぼちゃ狩りに来たのかしらァ?」
「誰だお前は。強いな?」
「ええ。かぼちゃのモンスターを統べる一角のものですもの」
かぼちゃから降りて、口に手を当てる。
「私の名前はパンプクイーン! かぼちゃの女王様よ」
「パンプクイーン。相手にとって、不足なし」
私は指の骨を鳴らす。
ああ、投げたい。あの細い手足じゃ投げたら折れるかもしれないが。魔物なら容赦はしなくていいんだろう? 投げたい。
殴る、蹴るなどの暴力も得意とはしているし、新体操などの体操も、なんでもできるがやはり、一番心躍るのは柔道だな。投げるのが一番楽しいし、面白い。
「あなたも十分な強さを感じるわねぇ。どう? 取引をしない?」
「取引?」
「私とあなたでかぼちゃを狩る子を殲滅するの。あなたの強さならばきっと可能よ」
「ふっ。そうか。私にメリットは?」
「ものすごく美味しいカボチャをふるまってあげる。甘くてとろけるわよ」
「そうか。それは好ましい取引だ」
野菜などは基本的に好きだからな。
自ら食事制限などはしているが、野菜などはそういったことをしない日であれば結構食べる。キャベツやレタス、ニンジンに大根。もちろんカボチャも美味しくいただいている。
が。
「が、悪いがそれは無理だ。私は魔物を倒すことだけ言われてるんでな。頭がどうにも堅い堅物の頑固もんでなぁ。友人からの頼みは断れない…いや、断れねえんだよ!」
「かっかっか! よく言った! カボチャの女王だかなんだか知らないが、ここで相手取るしかないのぅ。女王というからには強いんじゃろう? 退屈させないでくれよ!」
私は、どうにも言葉を乱暴にできない。
こればかりはくせがついてしまっていた。基本的にぶっきらぼうに話す私だけれども、しれねえなんて言葉はあまり使ったことがない。
年上や目上には一応敬語を使うが口調を変えるのはその程度だ。それは当たり前のことだ。年上に敬語を使うということは。
敬うことが一番の基本。それはスポーツにも通用する。ノーサイドということもあるように、対戦相手を敬うこともまたスポーツマンシップというやつだ。
パン子と喧嘩してなかったら、わかっていなかっただろうな。
きっと才能に驕って、もっと傲慢になっていたかもしれない。昔の私じゃ考えられないが、感謝しかないんだ。
私を正してくれたのはパン子だ。そのパン子のためならば私は絶対に依頼を遂行してやる。それがお礼になるのなら。
「少年漫画っぽいことを言うが……。かかってこいよ。捻りつぶしてやる。女王だなんだ偉そうに。気に食わないな」
「私もあなたが気に食わないわねえ! 私の誘いに乗ってこない悪ガキどもはやっぱり嫌いよ!」
「誰でもいうことを聞くと思ったか? 反抗期を迎えたことがないらしいな!」
こいつを倒してかぼちゃをもらう。ただそれだけだ。
次は月乃ちゃんのお相手を書きますね




