ゴルフェル商会の黒い噂
カイハを連れて王国を訪れる。
冒険者ギルド以外にもギルドはあるらしく、商業ギルドっていうものもあるらしい。商会や権利や発明を売りたい発明家などが多く所属している。
一応、カイハも所属しているらしい。
「カイハ様今回はどうなされました?」
「権利を売りに来ただけだ」
と何かの設計図を提出していた。
ハンマーのようだ。
「これはなんでしょう?」
「機械を壊す機械だ。もしも俺様や、他の発明家が作った機械が暴走して人を襲うようになったら大変だろ? ぶっ壊すのも一苦労だって聞いてな。このハンマーがあれば一発でぶっ壊れるぜ!」
「なんと! それはありがたいです! 暴走した機械を止めるのは意外と辛いと騎士団が嘆いておられましたから……」
「ま、暴走はしゃあねえだろ。天才である俺様ですら暴走させるんだ」
そのせいで前爆発事件起きたんですけどね。
「一応見本は作ってきたからこれもやるよ。ただ、このハンマーを作るのは一苦労だろうし、素材もものすごく必要だから高くつく。いくらで買う?」
「ざっと三億でどうでしょう?」
「もうちょい高くならねーか? 騎士団を助ける発明だぜ?」
「三億五千万でどうでしょう」
「ま、相場よりは多分安いと思うがそれでいいぜ」
「いつも安く売ってくれるので助かってますよ」
安く売ってくれるって金に執着はないんだなカイハ。開発できればそれでいいっていうものだろう。最低限の開発費ぐらいしかもらってないんじゃないだろうか。
でもこのハンマーだけで三億五千万の価値か……。意外と技術って高いんだな。
「ま、俺様は金はあまりいらねーからな。素材費さえあれば問題ねえし。それより、ゴルフェル商会は最近どうだ?」
「ゴルフェル商会ですか……。最近は何やら怪しい動きをしておりますね。噂によると手を出してはいけない素材に手を出している、とか」
「手を出してはいけない素材?」
「そちらは素人さんですか? 説明しますと、その素材は扱いを間違えると死ぬ可能性がある素材なんです」
扱い方を間違えたらだめ……?
「たとえば……逢魔鉱。非常に危険です。魔力を豊富に含みすぎているので一歩間違えれば魔力が暴走し、逢魔鉱に取り込まれる、という事件も多発しております」
「へぇ…怖いな」
「扱うのはカイハさんみたいな国から許可を受けた人じゃないと無理なんです」
「フグだな」
現実でもフグを調理するのは免許が必要だからな……。
それにしてもそういう素材があるんだな。私は見たことないんだけど……。
「あくまでも噂なので動くことができない状況なんですよね」
「んじゃ、見つけてくっか?」
「潜入は危険ですよ。ただでさえ黒いうわさしか聞かないので」
「私に任せてもらえればいいよ。こう見えても変装得意だから」
模倣してしまえばいいしな。
潜入任務! 燃える。




