希代の天才発明家
広瀬先生が結婚、ねぇ。ただ不思議なのは赤ちゃん産んだにしては普通に運動してたっていうか、お腹大きくなかったよな?
そう考えていると、私は人にぶつかってしまった。
「あ、すいません」
「あっ、やっべ」
と、そのときだった。
機械が、煙を噴き出して暴れまわりだしたのだった。
「ええ!?」
「ぶつかった衝撃でエラーが起きちまった! おい、あんた止めろ責任持ってよォ!?」
ええ……。
とりあえず私は、水の塊をぶち込むと、機械は煙を上げて、今度は赤くなっていく。熱を持ち始めた? 触ってみると熱い。
「やべ、熱暴走だ! 爆発するぞ!」
「まじかよ!?」
そして、ニホンの街中で、大きな爆発が起きたのだった。
私は、機械を作ったであろう少女と一緒に王城に連行されていた。
街中での爆発事件。いや、故意的にじゃない。まさか爆発するとは思わなかったんだ。
「てめえ! よくも俺様の発明品をぶっ壊してくれやがったなぁ!」
「わ、悪かったよ謝るよ」
俺様という一人称が特徴の女の子はどうやら発明家らしい。
頭にはゴーグルをつけ、機械のリュックを背負った女性だった。見た目は結構可愛い女子だ。これは多分モテるだろうな……。
私は、笑顔を浮かべながらごめんといいまくっているとレオンとアデュランがやってきた。
「件の爆発事件の犯人が……こいつらか?」
「……なにしてるんだパンドラ」
呆れたようにため息をつくアデュラン。
「いや、これは普通に事故。決してニホンを落とそうとしたわけじゃないんだよ。な?」
「ああ、私の発明品が盛大にぶっ壊れやがったんだ。大きな水をぶっかけたら熱暴走を起こしちまってな」
「「発明??」」
「聞いて驚くなよ王子ども! 俺様は希代の天才発明家! カイハ様だ!」
「「ああ、あの変人発明家少女」」
「へ、変人!?」
変人って言われたからか少し動揺していた。
「だが、うわさは聞いている。メイドロボットを開発したそうだな」
「ああ、老人に頼まれたからな。ほら、老人共は足腰が弱くなるだろ? それを介護するためのロボットだ。ああ、ロボットというのは俺様が名付けてな? 主人の世話から護衛まで何でもござれの名発明だ!」
「なぜメイドなんだ?」
「そりゃむさくるしい男なんかに介抱されても気色悪いだけだろ?」
よく考えているし、こいつは多分、天才の域なんだろうな。ぜひとも仲間に欲しい。
「たまに、暴走していて騎士団の手を煩わせるのだが」
「ああ、そりゃ俺様の問題じゃねー。使うほうの問題だ。ぶん殴るなり衝撃を与えすぎると壊れちまうからな。人間だって殴られたらケガするし、死ぬだろ? メイドロボットも同じよ」
「……そうか。わかった」
誇らしげに語る彼女。それを興味深く聞くアデュラン。
こいつも狙ってるのだろうか。
「兄上。一応こいつは国に対して多大な貢献をしている。被害者もいなかったようだし穏やかな目で見てもいいだろうか」
「ま、いいだろうね。これからは気を付けること」
「へーい。ま、こいつが水をぶっかけなければ爆発もなかったんだけどな」
「うっさいな」
水につけたら大抵壊れるでしょう。




