体育での出来事
新章、突入
体育。
今日の体育は体育館でバスケをすることになった。チーム分けもきっちりされて、私と白露が同じチーム、そして、相手に月乃というこっちが滅茶苦茶強い組み合わせ。
白露居たら……そりゃ勝てますよ。
「じゃ、はじめ」
ジャンプボールから白露が登場。
白露は天高く飛び、ボールをかっさらう。そして、華麗にドリブルを決めて、守備を躱し、華麗にダンクシュートを決めていた。
もう、あいつだけでいいんだけどな?
「ふっ、私にかかればこんなものだ」
「白露様~!」
白露はディフェンスに戻り、今度は相手が味方にパスしたボールを奪う。白露がいるのはコートの中心。
そこから白露は大きくボールをぶん投げた。弧を描き、ボールは吸い込まれるかのようにゴールに入る。ええ、そこから入るの?
「っしゃあ!」
「バケモンかよ……」
「私のシュート範囲はコート全部だ」
「どこのキセキの世代?」
改めて実感する。こいつ運動神経半端ねえ……。
さすがに敵も白露に三人つけた。こうも動きを封じないといけないのが白露のやばいところだと思う。それに、三人つけられても白露は動じない。
その程度でやられるほどヤワじゃないからだ。
「パン子ちゃんパス!」
「えっ、わ、私!?」
と思ったらいきなり私にパスが来ました。
投げられたパスはというと。
「へぶっ!」
「ぱ、パン子ちゃん大丈夫!?」
顔面でしかと受け止めました。
痛い。痛いよ……。
「ぜ、全然平気……」
「鼻血出てる! せんせー!」
もう私体育の時間いなくていいですか?
私は立ちあがり、ボールを拾おうとすると。
「へ?」
盛大に顔面から地面にダイブしたのだった。
そのまま、私は顔を地面につける。
「……パン子。運動神経なさすぎにもほどがあるだろう」
「……恥ずか死」
「と、とりあえず保健室行こうね。歩ける?」
「足強く打った……」
「無理そうだね……。じゃあ私が抱えていくから……試合変更して白露さんが審判で別チームが試合しておいて」
私は広瀬先生におぶられて保健室に直行されたのだった。
私は足を出す。
「今日保健室の先生いないから私がやるね」
擦りむいた私の膝に先生がガーゼにしみこませた消毒液をつける。
沁みるっ……!
「それにしても派手に転んだねぇ……。なにもないところでこけるんじゃないよ……」
「面目ない……。運動は昔から苦手なんですよ」
「ゲームではあんなに猛威振るっておいて現実ではこうってギャップがすごいよ」
「あはは……。ってか広瀬先生最近ログインしてなくないですか?」
「まあ、仕事が忙しいからね……。最近暇がないんだよ」
「ああーなるほど。大人って色々忙しいんですね」
子供である私たちはまだまだ暇を持て余しているけれど。
「暇ができても疲れてるからつい寝ちゃうんだよね。自分から教師目指したけど、こんなに大変とは思ってなかったよ」
「そうなんですか? じゃあ教師になるのやめとこうかな」
「正解だと思うよ。夢野さんは厳しくなりそうだし」
「先生、私のことそんなスパルタだと思ってるんです?」
厳しくなんてしてないはずだ!
「でも、もうちょっとしたら私休みとれるから大幅に」
「なんかあるんですか?」
「ん? 育児休暇っていうかそういうの」
「……先生結婚するんですか!?」
「うん。するんだよ。三十近くになってやっと、っていう感じだけどね」
ええ……初耳。




