ピザを食べに行こう ①
私は信号機トリオを連れてとある飲食店に来ていた。
「たはー! 流石人気店だなー!」
目の前に聳え立つはイタリアンレストラン。もといピザ屋。本場イタリアのピザ職人が立ち上げた店らしい。
ピッツァね。うん、美味しいよね。
「今からこれに並ぶのか?」
「そうそう! 並んで食べるからこそ美味しいよねぇ」
私たちは列の最後に並ぶ。
エクスはイルマに手をつながれ、楽しみだなーって心待ちにしていた。
「それで、聞きたいことがあるんだけど。ライザックはもともと騎士でしょ? なんで魔王軍なんかに?」
「それは魔王様にお助けしてもらったからな。魔の森で訓練をしていると魔物に襲われて瀕死の重傷を負ってな。死ぬかと思ったその時魔王様が俺を助けてくれたんだ。その時から忠誠を誓った」
「へぇ、イルマたちは?」
「私とエクスは同じ孤児院にいた孤児なんです。金欠で私が仕方なく奴隷になろうとしたとき、高く買ってくれたんですよ。エクスがついていくって言ったのでエクスも一緒にね」
「ふぅん」
始まりはみな違うのだな。
私はそういって前を向く。そして、ピザのことを考えていた。マルゲリータもいいんだけどな。キノコとかふんだんに乗っけたピザとかも美味そうでよだれがおちる。
こういうたくさん選べるのって私結構悩むんだよ。どれも美味しそうなのがいけない。いや、販売する以上美味しくないとダメなんだけど。
「きゃあああああ!?」
すると、店の中から悲鳴が聞こえてくる。
ガラス張りの中を覗くと、人が一人キルされていた。どうやらPKが入っているらしい。
「あいつ、有名なPKじゃねえか」
と、誰かが呟く。
私は、店の中に入っていった。そして、その男の背後からナイフで突き刺す。
「なんで私が楽しみにしていく店にPKとかマナーが悪い客が現れるんだろうね。ここまで続くと流石にムカつくよ」
刺された男は私のほうをむいて殺そうとしてくる。
私は首にナイフを刺した。
「死ね」
男はポリゴンと化して消える。
プレイヤーの死体は残らないらしい。NPCのは残るのに……。
「呆気ねえ。ったく、楽しみにしてたのに水を差すんじゃないよ……」
私はライザックたちのところに戻る。
ライザックたちは少し怯えたような顔をしていた。いや、何で怖がってるの? すると、店の中からイタリア人っぽい顔をした人が現れて、私の手を握る。
「アリガトウ! 君がPKを倒してくれたのかい!」
「え、ええ」
「助かったヨ! お礼の品をあげるからすぐに入ってきてくれ!」
ごめんなさい。
人助けはするものですね。




