魔王を名乗れ
パライゾを仲間にして、私たちが魔王になりたいと告げた。
すると、パライゾは大きな声を上げて笑う。
「今のご時世に君たちみたいな魔族がいるんだなぁ!」
どうやら、魔王になりたいというのは珍しいらしい。
でも、魔王になりたいことを笑うわけではなさそうだった。
「いやー、君たちみたいな魔族久しぶりだよ。今の魔族は人間を恐れて大人しくしてるんだ。でも、そんなのつまんないとおもってたんだよ丁度!」
「パライゾは……私が魔王になれると思うの?」
「なれるなれる。十分素質はあるよ。部下が滅茶苦茶優秀だし、君は仲間を思いやれるからね」
と、パライゾに認められて、少し嬉しそうにするワグマ。
パライゾは一通り笑ったのか、真顔に戻る。
「でも、君たちみたいな人は私にとっては面白いよ。従うには十分な相手だね。魔王になりたいなんてそんな目標持った君たちとあえて嬉しいよ」
「そ、そう……」
「さて、じゃあ、まず魔王ってことだからこの森を魔王領にしちゃおうか。一番近くにあるしね」
と、パライゾが言う。
ワグマはええと驚いていた。
「この森の魔物と他の賢者にも魔王ってことを伝えておく。この森は今日から……」
「待って! この森は人間のものでしょ? 勝手に……」
「名乗っていいんだよ。そもそも、所有権がなんでみんな人間側にあるの? それはおかしいでしょ。人間はこの森の所有者じゃないし、人間如きに許可もらわなくてもいいんだよ」
「それは同意だな」
「パンドラ!?」
「この森は人間のものじゃない。ただ自分たちのものって名乗ってるだけだ」
だから、私は反対じゃない。
国からのやっかみがあるだろうけれど、そんなのは知るか。人間のものじゃないから反抗しているまで。
やっぱ勝手に名乗る方がやりやすい。
「そうだな。やりたいようにやるか」
「ビャクロ!?」
「ワグマ。名乗れ。もう魔王だって名乗ってしまえ」
私は、ワグマに詰め寄ると、ワグマは少し周りを見渡した。名乗ってしまえという視線だけがワグマに寄せられていることに気づいたのか、ため息をついた。
「わかったわよ。名乗ります。魔王ワグマ、ここに見参です!」
「ここに見参って言いたかっただけだな」
「…………」
ビャクロやめてあげて! 図星をつくのはやめたげて!
見参って言い方古いっての私は言わないでおいたんだからねっ! 私優しい!
「それじゃ、魔王誕生記念に近くの街でも攻め落とそうか。その方が有名になれる」
「だな」
「うぐ……本当にやるの」
「魔王なんだから極悪非道なこともしないと」
「私は森の賢者に近くの街を襲う手伝いを頼んでくる」
「決行は今日?」
「思い立ったが吉日」
「おっけい」
今日はあの街を攻め落とすらしい。腕が鳴る。
タイトル近いうちに変更すると思います。
わかりにくいという指摘があって、その通りだなって…。
うーん、タイトル考えるのが一番難しい…




