破壊こそ至高、絶望こそ最高 ④
物理攻撃無効、そして進化したことにより水魔法の威力が上がっているみたいだった。
水の刃を無数に創り出し、敵に浴びせ続けている。降り注ぐ無数の水の刃に魔物も恐れをなしたのか次々に逃げていった。
終わり、だろう。
私たちはその場に座る。
「疲れました……。本気を出すとやっぱり疲れますね……」
と、レブルがこちらに近づいてくる。
私はレブルのほうを見ると、思わず吹き出してしまった。
「レブル何その姿!?」
「え? ああ、本気出したらこうなってしまうんですよ。なぜかは知らないんですけど……」
レブルの今の姿は水色の髪ではなく、銀髪と金髪が合わさったような髪色をしていて、肉体も少女の姿から大人の姿へと変身していた。女騎士の見事な風格が備わったかのような感じ。なんで本気出すと成長するの?
そう思っているとぼふんと煙を上げて元のレブルの姿に戻ったのだった。
「ほぅ……見事なもんやなぁ……。七つの神の加護を授かったもんはすごいで……」
と、ローキッスはその場に倒れこむ。
息をすごく切らしていた。
「……七つの神の加護?」
「知らへんのか……。レブルには七つの神が加護を授けとるんや。あの化け物の強さも、本気出すと大人になるのも……神の力やで……」
なるほど。それなら納得はいく。
だがしかし、納得できない面もある。
「勇者病にかかったのはなんで?」
「それは体が人間だからや……。レブルは今半神半人みたいなものやで……」
「なるほど、器が堪え切なかったと」
「レブル自身もともとの魔力の器は大きかったんや。けど、神の力はその上を行く。だから耐えきれずかかったんやで……。てかもう喋らすなや……。力を大半失っている今追い打ちをかけるかのように使ったからボロボロなんやで……」
と、ローキッスはそう弱々しく言葉を吐いた。
まあ、知りたいことは知った……って全部知ってねえ! 私が海王妃ってどういうことよ!? 進化したのはなんで!? 進化条件は!?
私はとりあえずローキッスを回復させた。
「……あんた鬼やな。休ませてくれてもええやろ別に」
「回復したでしょ。まだ聞きたいことあるのよ」
「なんや……ってあんた進化したのか偉いなぁ。体が液体になっとるやろ。こういう風に」
と、ローキッスが私に殴りかかってくる。すると、ローキッスの腕が私の中に取り込まれていった。液体のように形を変えているというのが妥当かもしれない。
痛くない。すげえ。
「あのメルセウスも自身の体は液体やで。液体のほうが海の気持ちがわかるとか意味わからん理由で液体なんや」
「へ、へぇ……」
「もうええか? 俺はもう宿に帰って寝る。起こすなや~」
そういってローキッスはふらふらとした足取りで宿に戻っていった。
液体化したのは進化した証拠で、神に近づいた証拠といえる。珍しくアナウンスが聞こえてきたということは知っておくべき情報なのかもしれない。
でも物理攻撃無効っておいおいおいおい。ゲームバランス大丈夫か? いや、魔法に弱いけど私死なないしな。
これまたやばいもん手に入った感じ。
「まあいいか。とりあえず公爵のとこ向かお。呼ばれてるし」




