破壊こそ至高、絶望こそ最高 ①
書けたけど一話っ…!
明日も一話のみです
それは、私たちが宿でローキッスと仲良く遊んでいるときに起きた。
サイレンが鳴る。音が響き渡る。思わずトランプを放り出し、窓の外を見ると、住民たちが走り逃げている。
何が起きているんだろう?
『緊急警報! 緊急警報! 多数の魔物の軍勢が一斉にこちらに向かっている模様! 住民は直ちに避難せよ! また、冒険者などの戦える人はすぐに門の前に集合せよ! 繰り返す!』
魔物の大量発生か。
私たちは重い腰を上げる。レブルはすでに聖剣を取り出していた。戦う気は満々ですね。それぞれが戦う準備を整えている。
「しょうがない、あともう少しで帰れるんだ。それをチャラにしてたまるか」
この街を守れなかったら私たちは多分帰れないのだ。公爵が死んでしまったら帰ることは不可能。ならば協力するしかあるまいて。
私たちは門の前に集まると土煙を上げて魔物の大群が押し寄せてくる。
「Cランの魔物が多い……! が、油断はするな! お互い死ぬんじゃねえぞ!」
と、冒険者の一人が声を上げると、一斉に冒険者は突撃していった。
「アンジュは街の住人の避難を最優先に、ユウナ、ローキッス、レブルはもちろん戦闘! ウルフは……そうだな、大量発生した原因を私と一緒に探るぞ!」
「ふふ、人助けです。人助けをするのです」
「腕が鳴るなぁ。魔物相手なら容赦はしなくてええ。楽やなぁ」
「一騎当千!」
「私が守ります!」
戦闘要員はかけていく。
アンジュは街の中に消え、残ったのは私とウルフだけだった。私は原因を探ることにする。大量発生が起きるのは何か理由があるのだ。それは昔も同じ。
地を這う魔力が濃すぎた故に起きたこともあれば、人が介入し人工的に起こした事件もある。これはどちらかというと後者であろう。
魔物が狂っている。いや、興奮している? 倒されていく魔物の姿。本で見た記憶がある。だが、全員温厚で森の中から出てこない魔物ばかりだった。
後者の人が介入した事件もこういう魔物が多い。つまりこれは意図的に起こされたスタンピードだった。
「ま、都合よく自然に発生するわけがないんだよな」
魔物の設定はというと大地の魔力で作られており、強い魔物ほどより良い魔力を求めて移動するものなのだ。これが大量発生の原因ともなりうる。
つまり、この大量発生が自然的なものであるのなら凶暴で強い魔物が来るはずなのだ。だがしかし、温厚な魔物、最大Cランクの魔物が大量に押し寄せてくるのは違う。自然的なのはSが混じることがあるが、最低でもAランクの魔物一体はいるのだ。
犯人がだれで、何の目的かはわからない……が。
「とりあえず原因を壊しにいくぞウルフ! 私を抱えて走りな!」
「狼使いが荒いなあ! 背中に乗ってろ!」
私たちは森へ全速力で駆け出した。




