肝試し
夜の森の中。
私と武宮君が歩いている。
「廃学校……」
「おー、それっぽい。こんなかを探検すればいいんだね」
肝試しにきていた。
ペアはくじ引きで決まり、私と武宮君がペアになったのだった。森の中を歩いていくと大きな木造建ての学校があり、この中の教室のどこかに紙を置いてきたらしいのでそれをとりに行く。ちなみに広瀬先生がものすごく怖がっており、今現在施設で療養中。怖いの無理なんだね。
「ぱ、パン子ちゃん勇気あるね」
「怖がってちゃ何も生まれないしね。さ、いくよ」
私たちは校舎の中に入る。
ぎしぎしときしむ音がする校舎。少し肌寒い。
「武宮君ものすごく怖そうだね」
「うん。嫌いってわけじゃないけどこういうの苦手なんだよね」
「素直でよろしい。私につかまってていいよ」
「そうさせてもらうよ」
武宮君は私の肩を掴む。
……ふふっ。
「……学校の殺人鬼っていう話知ってる?」
「し、知らないけど聞きたくない」
「そういうなよ。ある日、学校に忘れ物をしたと男の子が夜の学校に忍び込んで取りに行ったときの事なんだけど……。
その男の子は、学校の中で嫌なにおいをかぎ取ったんだ。何か焦げる匂いでもなく、何か臭いにおい。嗅いだことのない匂いが漂っていたんだって。
すると、ぴちゃり、ぴちゃりっていう水が滴る音が聞こえる。その音は何だろうと、男の子はそこに向かい、教室のドアを開け、電気をつけたんだ。すると、黒板に血文字でまた死んだと書かれていて、天井を見ると先生が張り付けられてたんだ。
男の子は怖くなって電気を消さずに逃げて事なきを得たんだけど、その男の子は学校に行くのも怖くなって不登校になったんだ。
でもね、その翌週、公務員さんが見回ってみると教室に明かりがついてたんだって。その教室では……」
「………なんか想像できる」
「そう、その不登校になった男の子が貼り付けになって死んでいたんだ。また死んだって血文字で書かれていた。その黒板の奥のほうを見ると、ナイフを構えた少女がにやりと笑って公務員のほうを見ていたという……」
「ひいいいいい!?」
「ふふふ」
武宮君がものすごく怖がっていた。
私は苦笑いでそれをみて、先を急ごうとして、足を止める。
「今、ふふふって誰が言った?」
「……は?」
「いや、ひいいいい!? って怖がってた後にふふふって聞こえたんだけど……」
「え゛っ、お、俺を脅かそうっていう嘘?」
「いや、これはマジで」
さっきふふふって聞こえた。
私たちの話を聞いていて笑ったのだろうか。それとも私たちを殺そうと本当に殺人鬼が来たとか?
「本当に怪奇現象だね」
「ひいいいい!?」
「早いとこ紙回収して帰ろっか」
なんだか少し鳥肌立ったし。




