アリスのダンジョン ②
有栖川さんのダンジョンを進んでいく。
結構深いんだなーと思いながらも進んでいくと部屋にたどり着いた。
「ボス部屋かな」
「よくわかりましたね」
「まあ、それっぽいし。ボスはアリスだっけ?」
「私がいるときは基本そうですね。いないときは別のに任せてます」
ワークシェアリング。
「挑戦しますか? 自慢ではありませんが結構強いと思います」
「その方が燃える。アリスは戦うの?」
「正直自分が手掛けたものなので……」
「わかったよ」
私一人でやれということか。
罠とかあっただろうか。正々堂々やるつもりは一切ないからな。相手の土地で勝負するとはいえ多少の罠などがあったら貼っておきたいが……。
また新しいもの作ったけどもしかしたらこれ使えるだろうか。
「じゃ、お手並み拝見といこうじゃないか」
ボスの扉を開ける。
すると、中にはテーブルが一つと椅子が三つあり、その一つの席に誰かが座っていた。老紳士だった。
「おや、お客さんですか」
「どうも」
「それにマスターも。お知り合いですか?」
「友達。よかったら相手してくれませんか? 退屈は多分しないと思うので」
「ほう。あなたがそれほど評価するということは楽しい勝負ができるのでしょう。いいでしょう、この大悪魔、バルバッソと勝負しましょうか」
バルバッソは立ち上がるとテーブルが消える。
そして、黒の瘴気をまとっていった。
「質問、物理攻撃は効きますか」
「マスターの知り合いだから特別に答えてあげよう。効く。痛いのは嫌いなのだ」
「そうですか。あと少し時間をください。ちょっと戦う土地の確認をさせてください。正々堂々といきましょう?」
「わかった。許可しましょう」
私は壁のほうに近づく。
この壁の材質はなんだろう。固いけど柔らかい感じがするな。ナイフとかは良く刺さりそうな壁ではある。あと、この壁本気でやれば壊せそうだ。
「おっけー。これだけわかれば」
私はクナイを取り出す。
作っておいた。私はクナイをバルバッソめがけて投げた。
「おや、こんなものですか。遅い」
と、難なく躱される。
私は避けた方向にクナイを投げた。それははじかれて私の背後のほうに突き刺さる。私はまたクナイを取り出してと、何度も何度もクナイを投げていく。
「しつこいですね。マスターが退屈しないと言っておりましたが同じことの連続では……あくびが出てしまいます。もういいでしょうか? 今度はこちらから……」
と、私に向かって走り出す。
バルバッソは足を大きく振りかぶり、私の鳩尾に当てた。私は吹っ飛ばされていく。痛覚をオンにしてるからめっちゃ痛えじゃねえかよ……!
私は、歯を食いしばった。この痛みは計算の内だ。一発食らうことぐらいは想像していた。何の問題もない、が、痛い。
「タフですねえ」
「リアルだったら骨の何本かは逝ってただろうな」
あはは、マジ痛い。
女子に暴力とかサディスティックだなあ。なんて冗談は言えないほど痛かった。私は、背後にクナイを突き刺した。この角度だ。
いい、私と一直線上になっている。
私はにやりと笑った。
「何を笑っているのですか? その余裕はどこから来るかわかりませんが……終わらせましょう」
バルバッソは私に向かって駆けてくる。
死が、そこには迫っていた。




