ある日馬車の中山賊に出会った
私たちは商人の馬車に同乗することになった。
荷台にのっかり、馬車が動く。
「それにしても宝石とかたくさん乗せて……。よく襲われませんね」
「開けた場所を普段は通りますからね」
「……今森の中ですが」
「普段通る場所雨でぬかっちゃって馬車が通れないんだよ。この宝石は今日までに届けないといけないからこの道を通るしかないんだ。正直、山賊に襲われないか不安で」
「……はぁ、護衛はしますよ。乗せてもらってますから」
「本当かい? 助かるよ。あとで護衛料は支払うよ」
ということで護衛をすることにはなった。
たしかに昨日軽い夕立が降ったとは聞いた。地盤が緩いのかな普段通るところは。
すると突然馬が止まったのだった。
「おい、止まれそこの馬車」
「……言った矢先からおでましかい」
私はレブルとアンジュを呼んだ。
「怪我したくなきゃあ……積み荷を」
「レブル、防衛戦だよ」
「はい、師匠」
レブルは聖剣を構える。
山賊は私たちが戦うつもりなのを見てにやりと笑った。
「あんたらを殺して奪い取るまでよ! 野郎ども、かかれ!」
と、一斉に攻撃を仕掛けてくる。
「はあああああ!」
レブルが聖剣を薙ぐと山賊が吹き飛んでいった。
「はあああああ!?」
「ねえお頭さん? 金目の物、ある?」
「一瞬で……。ちっ、ずらか」
「アンジュ」
「はいです」
アンジュはお頭の首元にナイフを突きつけた。
「私たちィ、お金がないの。金目の物、あるぅ?」
「ありますあります! 今すぐ持ってきますぅ!」
「そう? ありがとぉ。レブル、ついてってあげて? おじさん怖そうだから」
「は、はい」
私たちから金目の物巻きあげようなんていい度胸してるじゃん?
すると、それを見ていた商人の人が呟いた。
「えっと、君たちも山賊だったのかい……?」
「いや、違いますけど」
「そ、そう。金目の物を要求するからそうかなと」
「毟れるものは毟ったほうがいいので」
数分後、お頭さんは財宝を私に持たせ、走り去っていく。
ふっ。レブルつっよい。正直戦うのレブル一人でいいんじゃないの? 勇者病かかってからなんかすっごいレベルアップしてる気がするのは気のせいだろうか。というか、こいつがこのゲームにおけるチートキャラなんじゃないの?
「師匠、さっき思ったんですけど体が妙に軽く感じます! なんでですかね?」
「それはこっちが聞きたい」
「今ならきっと魔王様も倒せます! あ、いや、下克上とか狙ってるわけではありませんけど! たとえ話です! 今のは忘れてくださぁい!」
「あー、うん。うん」
倒せるどころか多分私ですら敵わないんじゃないかな。
どんなに策を弄しても力技で強引に突破されそうな感じがすごいする。どんな攻撃も無効化する能力でも持ってそう。
「私は魔王様を慕っております! 本当ですぅ!」
「信じてるよ……」
「本当ですか!? ありがとうございますぅ!」
成長早すぎるんだよなぁこの子。




